「葉隠」について受講した際になんともいえない感銘を受け、教授にわざわざ感想を述べ伝えに行った日のことを思い出した。「武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの」―「武士道」への憧れって何だろうなあ。根性なしの自分には決して達し得ない境地には違いなかろうが、本作は藤木、伊良子、そして牛股を通して疑似体験できる、まるで麻薬みたいな逸品。虎眼先生は真性の吉外とお見受けしたが、愛妾いくの情の深さがツボに嵌る。楳図先生もドン引きしかねないおびただしい臓物量も慣れれば記号みたいなもので、物語の色づけのようなものとしか感じなくなってしまった。エピソードとして特に印象深かったのは藤木片腕縫合の話で、四肢欠落フェチの類の物語を読み返したり、自身のなかにある不完全なものに感じるエロティシズムを重ねながらちと萌えてしまった。
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- 感想投稿日 : 2013年1月16日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年1月16日
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