マツリカ・マジョルカ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年3月1日発売)
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本棚登録 : 752
感想 : 121
5

再読、ですが感想を書くのは初回。82点。
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柴山祐希は夏のある日、廃ビルの上階の窓辺に腰掛けていた不思議な魅力を持つ女子高生マツリカと遭遇する。
彼女から放課後校庭に現れる原始人や文化祭に出没する恐怖ゴキブリ男の噂を調査するように命じられて、、、
そんなやり取りを通して少しずつ彼女と接していく。
4編収録の連作短編集
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相沢沙呼3作目、酉乃初シリーズ以外の初の連作短編集、マツリカと名乗る不思議な少女の魅力満載の小説。
正直なところ前の2冊はミステリとして見た場合上手く連作短編集として仕上げられていると感じましたが本作はその部分が非常に弱いと感じてしまいました。
基本的にはマツリカさん、それと柴山のクラスメイトの小西さんのフェティシズム溢れる描写を楽しむ小説だと思います。

最初の短編の「原始人ランナウェイ」は学校の怪談、噂話が出来上がる過程を上手く解き明かす点で舞台設定とマッチした良い短編だと思いますが他の短編はそこからやや外れて行ったのが少し残念。

最後の短編も連作短編集として、それまでの短編に真相の伏線は張られていましたがこのタイプならもっと存在感が欲しいところ。
また『午前零時のサンドリヨン』と比較するとドラマ性に大きく欠けるのも残念な部分ではないかと思います。
殺人事件、それも密室殺人や首切り殺人をミステリの華を喩えられるのに対して、日常の謎は地味だと言われる、言われてしまうのが身に染みる作品だとも言えるでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2013年2月23日
読了日 : 2013年2月20日
本棚登録日 : 2012年10月23日

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