300ページに満たないこの薄い文庫には、周知の通り、瀬戸内の小さな島の太平洋戦争をはさむ二十数年が描かれる。庶民の目と声に語らせた強い反戦の思い、貧しい暮らしの中での小さな喜び、華美な描写を省いた短い文章と台詞がいかに生き生きと自然や人間を感じさせるか…伝わってくるこれらの点だけをとっても屈指の存在と思うが、加えてこれは過ぎゆく時間の物語でもある。
去った時は戻らず、惜しんでも何もかもが指をすり抜けてこぼれていってしまう。地上に生きる人間に共通のこのテーマすら内包して、世界に誇るべき名作。読み継がなくてはー!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年8月30日
- 読了日 : 2020年8月30日
- 本棚登録日 : 2020年8月30日
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