【あらすじ】
静寂のなか、ゆっくりと息をする。
あの人はなにをしているか、と考える。
ちょっと憂鬱で、でも甘い。
まったくありふれてはいないけれど、
わたしたちの近くで起きていそうな
煌めく五つの人間関係。
『この夏のこともどうせ忘れる』の作者が贈る、夜の作品集。
三人は同じ日の夜に出会い、恋に落ちた。俺は彼女に。彼女はあの男に。そして、あの男が恋をした相手は俺だった。なぜ俺なのか、とあの男に訊いてみた。健やかな馬鹿がタイプなのだという。それって悪口じゃないのか? それはともかく俺たちの一方通行の三角関係は、しかしそれほど時間を置くこともなく、べつのものへと姿を変えていった(「明日世界は終わらない」)。さまざまな登場人物たちが織り成す、ひとことでは言い表せないような繊細な人間関係を描いた、この作者ならではの珠玉の五編を収録する。
「自分で自分を幸せにできる人は綺麗だと思った。」(砂が落ちきる)
【個人的な感想】
好きな短編順
①砂が落ちきる
②なにも傷つけないように、おやすみ
③明日世界は終わらない
④家族の事情
⑤不自由な大人たち
自分が普段感じているけど言葉にできない感情を的確に言葉にしている。
読んでいて寂しくなる、でもなんだか安心もする不思議な小説。
あとがきに書いてある「子どもは、歳を取ればいつか自動的に大人になれると信じていることがおおいですが、やがて、そうではない、と気付きます。この本に集録されているお話に出てくる人たちは、もう気づいている年齢です。」自分もそのことに気づいてしまっているから私も読んでいてなんだか寂しかったのではないかと思った。
- 感想投稿日 : 2023年11月26日
- 読了日 : 2023年11月26日
- 本棚登録日 : 2023年11月26日
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