西寺郷太氏が影響を受けたマイケル・ジャクソン、ワム、そして今回のテーマであるプリンスについて彼の圧倒的な知識と自らミュージシャンであるという同業種であることからわかる凄さを名前しか知らないような(音楽はなんとなく聴いたことはあるが詳しくない)人たちでも生まれてからデビューし現在に至るまでをわかりやすく、そして彼らのファンでも納得のいくものを書き続けているのは本当に頭がさがるというか素晴らしい仕事をされているといつも思う。
郷太さん自身もかつてはリスナーだった。そして今はプロのミュージシャンになった。小説で言えば作家は読者の成れの果てというようなところだろうか。でも、作る側になっても自身はほかの作り手の受け手でももちろんある。
プリンスのゼロ年代以降の復活について今作の中で時代が一回りしたという指摘がある。これはずっと追いかけ続けてきた郷太さん自身にも当てはまる部分はあるはずだ。
幼少期から追いかけ続けているアーティストたちへの尊敬と敬意、好奇心を持ち続けて彼らのことを伝えたい、もっと多くの人に知ってほしいと思っていた郷太さんが今の年齢になってプロのミュージシャンとして第一線に居続けてことでこれらの本が書かれるきっかけが生まれて同世代の出版人たちももっと一般の人に読まれるべきだし彼によって書かれて届くべきだと思ったのだと僕は感じている。
だけど好きだからと言ってなにかについて書くのは難しい。バランスが必要になる。僕のようにプリンスって名前ぐらいしか知らなかった人間が読んでもすげえなプリンスと思わせて引き込むことはマニアックになりすぎに時代ごとに書かれているからだろう。
プリンスという存在の生きてきた時間、歴史を郷太先生によって教えてもらっているという感覚、アーティストがファンを育てるように。郷太さんは書籍によって自分が好きなアーティストについて興味ある人間を育ている、知識を増やそうとしている感じがある。
それらもプリンスをはじめとする郷太さんが影響を受けてきたアーティストからファンとして受け継いだものをさらに下の世代に引き継いで残していこうという郷太さんの想いが伝わってくる。
- 感想投稿日 : 2015年9月22日
- 読了日 : 2015年9月22日
- 本棚登録日 : 2015年9月17日
みんなの感想をみる