立志・苦学・出世 受験生の社会史 (講談社学術文庫)

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  • 講談社 (2015年9月11日発売)
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【目次】
はじめに [003-006]
目次 [007-010]

第一章 受験生の一日──明治四〇年七月九日 013
第一高等学校入試会場/英語の問題と受験生の対処法/池田勇人も佐藤栄作も第二志望合格/旧制高校のランキング/猫の目入試改革のはじまり/予備校ブームと名物教師の元祖/私立大学が予備校を経営したわけ/明治のベストセラー参考書

第二章 勉強立身から順路の時代 035
勉強ハ冨貴ヲ得ル資本/『学問のすゝめ』と『西洋立志編』のコピー投書/勉強立身ルートに馴染みがない民衆/受験的生活スタイルの原型/武士の「立身」と町人の「出世」/勉強立身という新しいパラダイム/人材選抜の四類型/僥倖から秩序の時代へ/学校ガイドブックの登場

第三章 受験雑誌の誕生 059
「遊学」は明治二〇年代のキーワード/受験雑誌の源流/受験! 受験!/中学生の進路/第一高等学校の入学試験ほどむつかしき試験は少なし/難問奇問批判第一号/高等学校・官立専門学校の入試の激化/どこへでも入りさえすればよい主義の芽生え/二大月刊受験雑誌の登場/歐文社と螢雪時代/受験雑誌は日本的現象

第四章 「受験生」という物語 087
受験生の誕生/小説にみる受験生/「諸君大いに苦しみ給へ」/努力とガンバリズムの時間と空間/神経衰弱という病/受験雑誌はガンバリズムの刺激剤/日本の入試問題と溜め込み型学習/イギリスのAレベル試験/戦前は論述式試験/「英語は実力」の本当の意味/作文は決意表明を要求/記憶妙剤壮士丸/『セルフ・ヘルプ』が読まれたわけ/学歴エリートと民衆の通奏低音/受験の“物語”と“現実”のずれ/受験雑誌の最大の機能

第五章 苦学と講義録の世界 125
学校の隠れたカリキュラム/勉強立身の空転と苦学ブーム/苦学の変質と便乗悪徳産業/新聞配達と人力車夫/苦学サバイバル率は一〇〇人に一人/堕落経路/講義録会員は中学生の数よりも多かった/講義録のユーザーはどんな人/講義録と専門学校入学者検定試験/専検合格率/専検から高校という大障害レース/クール・アウトとは/講義録は時間稼ぎ/独学・苦学者へのスティグマ/旧制高校文化と苦労人的ハビトゥスの距離/教養主義という虚構

第六章 受験のポストモダン 159
昭和四〇年代までは受験のモダン/目標の脱神秘化/投資の拒否/試験の秘儀牲が剥がれるとき/受験産業は教育とアカデミズムの秘密を暴く/クール・ダウン=柄相応主義/予期的選抜の時代/学歴だけでは不十分/学歴は弱い資本/ハビトゥスの現在/受験現象のゆくえ

アフター大衆受験圧力釜社会論 学術文庫版あとがきにかえて [189-198]
  偏差値受験体制の終焉/学力・学歴をめぐる「顕教」と「密教」/症候とシナリオ
注 [199-205]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 370.教育
感想投稿日 : 2017年3月22日
読了日 : 2017年3月22日
本棚登録日 : 2017年3月22日

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