【書誌情報】
編者:大瀧雅之 |宇野重規 |加藤晋
装幀:米谷 豪
[執筆者一覧(五十音順)]
一之瀬 佳也
井上 彰
薄井充裕
宇野重規
海老名 剛
大瀧雅之
岡田尚人
小田川 大典
加藤 晋
釜賀浩平
児玉 聡
神藤浩明
高田宏史
高田裕久
玉井義浩
田村正興
中井大介
堀内昭義
間宮陽介
渡部 晶
定価:5,800円+税
出版年月日:2015/05/27
ISBN:9784130302067
版型:A5 ハードカバー
頁数:370
政治哲学者ロールズが考察した社会正義の問題はますます重要性を増している.本書は,功利主義批判として知られるロールズの「善」と「正義」の概念について功利主義に基づく経済学との親和性を問い直し,市場と倫理,民主的意思決定の問題を発展的に論じる.政治哲学と経済学の新しい対話.
〈http://www.utp.or.jp/smp/book/b307055.html〉
【目次】
はじめに(大瀧雅之・宇野重規・加藤晋 ) [i-vii]
目次 [ix-xii]
序章 社会科学における善と正義[加藤 晋] 001
1 ロールズと功利主義 001
2 市場と倫理 010
3 民主主義と経済学 015
第I部 ロールズと功利主義
第1章 ロールズにおける善と正義[宇野重規] 025
1 「論争」をふりかえる 025
2 サンデルの正義論 029
3 歴史に探るアメリカの公共哲学 034
4 ロールズを読み直す 039
5 結び 045
第2章 ロールズ『正義論』における契約論的プロジェクト[井上 彰] 049
1 ロールズ「正義論」の再検討――第3部を中心に 049
2 契約論と反照的均衡の方法 050
3 原初状態と一般的事実 054
4 「正義論」第3部の議論とその問題点 061
5 「正義論」における契約論的プロジェクトの今日的意義 071
第3章 イギリスにおける功利主義思想の形成[中井大介] 077
1 功利主義の現状 077
2 J.S. ミルベンサムの功利主義を乗り越えて 079
3 シジウィック古典的功利主義の完成 086
4 おわりに 092
第4章 功利主義批判としての「善に対する正の優先」の検討[児玉 聡] 099
1 「善に対する正の優先」というフレーズ 099
2 「善に対する正の優先」についての議論の俯瞰 101
3 「善に対する正の優先」に対する筆者の見解 115
4 「善に対する正の優先」というフレーズと翻訳について 121
[Book Guide I ]
I-1 ジョン・ロールズ『ロールズ政治哲学史講義』/随所からにじみ出る,リベラリズムな政治哲学[小田川 大典] 131
I-2 M. J. サンデル『民主制の不満――公共哲学を求めるアメリカ』/政治における道徳の論じ方[一之瀬 佳也] 137
I-3 チャールズ・テイラー『世俗の時代』/「世俗」再編の試み[高田宏史] 143
第II部 市場と倫理
第5章 理論経済学における善と正義[大瀧雅之] 151
1 新自由主義批判 151
2 善と正義の関係――状況と独立の普遍的な善はあり得ない 154
3 個人的善と社会的善の相互作用——正義の役割 156
4 理論経済学における正義とは
5 ムーアとロールズ,サンデル 164
付論 サンデルにおける Bailout Outrage に関する誤認 166
第6章 分割の正義と不正義[間宮陽介] 169
1 所有と共同体の相関性 169
2 共同所有の諸形態 178
3 現代総有論の可能性 189
[Book Guide II ]
II-1 ソースティン・ヴェブレン『有閑階級の理論』/市場の発達と慣習の進化[岡田尚人] 198
II-2 ソースティン・ヴェブレン『特権階級論』/「市場」と「倫理」の関係を見切った洞察力[薄井充裕] 204
II-3 J. M. ケインズ『ケインズ ラジオで語る』/マスメディアにおけるケインズ・スピリット[神藤浩明] 210
II-4 J. M. ケインズ『ケインズ説得論集』/歴史的文脈の中での、資本主義の相対化[玉井義浩] 229
II-5 ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』/市場経済の光と影[堀内昭義] 237
II-6 ジル・ドスタレール『ケインズの闘い――哲学・政治・経済学・芸術』/経済学者のディシプリン・生き様とは?[渡部 晶] 243
II-7 ニコラス・ワプショット『ケインズかハイエクか――資本主義を動かした世紀の対決』/色合いの異なった二人のリベラリスト[高田裕久] 252
第III部 民主主義と経済学
第7章 社会的選択理論と民主主義[加藤 晋] 265
1 アローの定理とサミュエルソンの「輸出宣言」 265
2 社会的選択理論の基礎 268
3 社会的選択理論の Semantics と Syntax
4 社会的選択理論と民主主義 283
5 不可能性定理と民主主義の意味 290
第8章 世代間正義の公理的分析[釜賀浩平] 295
1 世代間正義の公理的分析とは 295
2 公理的分析と反照的均衡 299
3 世代の不偏的処遇と効率性 302
4 功利主義に基づく優劣評価と世代の不偏的処遇 307
5 キャッチング‐アップ基準と世代の不偏的処遇 313
6 演繹の前提と非効用情報 318
[Book Guide III] 321
III-1 ドナルド・ウィットマン『デモクラシーの経済学――なぜ政治制度は効率的なのか』/シカゴ・アプローチによる政治経済学[海老名 剛] 323
III-2 J. M. ブキャナン・G. タロック『公共選択の理論――合意の経済論理』/合理的計算による国家形成[加藤 晋] 328
III-3 R. ドゥオーキン『いま民主主義は実現できるか?――新たな政治議論のための原則』/平等論と租税論について経済学からの批判的検討[田村正興] 334
III-4 D. アセモグル・J. A. ロビンソン『独裁制と民主制の経済的起源』/「近代化」の経済学[加藤 晋] 338
あとがき [347-348]
索引 [349-353]
初出一覧 [355]
執筆者紹介 [356-358]
- 感想投稿日 : 2017年9月5日
- 読了日 : 2020年6月25日
- 本棚登録日 : 2017年9月5日
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