近代中国史 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年7月10日発売)
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【書誌情報】
シリーズ:ちくま新書
定価:本体880円+税
Cコード:0222
整理番号:1019
刊行日: 2013/07/08
判型:新書判
ページ数:288
ISBN:978-4-480-06724-1
JANコード:9784480067241

 中国とは何か。その原理を理解するための鍵は、近代史に隠されている。この時代に、「幇」とよばれる中国団体をはじめ、貨弊システム・財政制度・市場秩序など、中国固有の構造がつくられたからだ。本書は経済史の視座から一六世紀以降の中国を俯瞰し、その見取り図を明快に描く。かつて世界に先んじた中華帝国は、なぜ近代化に遅れたのか。現代中国の矛盾はどこに由来するのか。グローバル経済の奔流が渦巻きはじめた時代から、激動の歴史を構造的にとらえなおす。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480067241/


【目次】
目次 [003-007]
中国全土図 [008]

プロローグ――中国経済と近代中国史 009
成長と謎の中国経済/異形の経済/中国を理解するために

I ステージ ――環境と経済 017
1 自然環境と開発の歴史 08
中国という世界/黄河と黄土/黄河流域の灌漑/長江と江南世界/江南の開発/外界との関係/南北の対外関係
2 人口動態と聚落形態 033
人口の中国史/人口変動と時期区分――一四世紀まで/人口変動と時期区分――一五世紀以降/「邑」と「村」/「市鎮」とその増加/聚落形態と時代区分/日中の対比

II アクター ――社会の編成 051
1 政府権力 052
財政への着眼/財政支出/汚職の慣習/財政収入/清代の納税/権力の位置
2 科挙と官僚制 065
「国」と「民」/二重構造/「士」「庶」の分岐/科挙の設立/特権階級の形成/科挙存続のメカニズム/官僚制のありかた/徴税と汚職
3 民間社会 083
「官」と「士」/「士」の分化/郷紳の役割/中間団体とその機能/宗族と同郷同業団体/人口増加とその影響/移住民の動向/秘密結社の叢生/一九世紀の世相と社会構造

III パフォーマンス ――明清時代と伝統経済 105
1 思想と行為 106
言行不一致の中国/中国の統計/「ものづくり」と中国史/「重農」の虚構/「地大物博」と貿易/商業の位置
2 明朝の成立と中国経済 118
唐宋変革からモンゴル帝国へ/明朝のイデオロギーと現物主義/税制・徭役・貨幣/朝貢と海禁
3 転換と形成 128
遷都と大運河/銀納化の進展/「湖広熟天下足」――地方間分業の形成/貨幣制度の破綻/通貨の生成
4 伝統経済の確立 138
密貿易の盛行/「北虜南倭」/明清交代/明代の「商業革命」/「革命」と伝統経済
5 伝統経済の特徴 148
現物主義の残存/中央と地方/原額主義と請負/通貨としての銀/通貨としての銭/内と外/徳川日本との対比/財産・契約の保護――権力の不干渉/中間団体の役割
6 景気の変動 166
デフレの時代/「危機」の構造/回復の契機/貿易の発展と「盛世」
7 経済体制と社会構成の定着 174
人口の増加と移民/中国のマルサス/零細な生業/貧民の生活/固定的で不安定な重層社会

IV モダニゼーション ――国民経済へ向かって 187
1 序曲―― 一八七〇年代まで 188
伝統と近代/貿易の旋回/密貿易の位置/買辦の起源/戦争・条約・開港の意味/伝統経済と綿布/貿易の増加と上海の勃興/外國と不平等条約/内乱と秩序の回復/釐金とは何か/督撫重権
2 胎動―― 一八九〇年代まで 210
輸出貿易の変化/地方の分業から分立へ/インド綿糸の流入/変化の様相/保護関税の成否/工業化の動き/企業経営/会社と合股/産業化の挫折/貿易と財政/財政再編の胎動
3 進展――日中戦争まで 232
観念の転換/借款・賠償金と中央財政/督撫重権から各省分立へ/「満洲国」の成立へ/軍閥の割拠/中央の挫折/袁世凱の遺産/第一次大戦と財政金融/「黄金時期」/対内凝集/国民政府の登場

エピローグ――中国革命とは何だったのか 259
限界/崩潰/共産党の登場/革命の展望――「改革開放」へ/現代中国と近代中国史

あとがき(二〇一三年四月 晴れわたった賀茂の畔にて 岡本隆司) [270-273]
参考文献 [viii-x]
索引 [iii-vii]
関連年表【BC221~2008】 [i-ii]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  222.中国史
感想投稿日 : 2017年2月16日
読了日 : 2017年2月16日
本棚登録日 : 2014年2月10日

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