【内容紹介】
発売日:2003年09月25日
在 庫:品切れ重版未定
判 型:四六判上製
ISBN:978-4-569-63054-0
80年代以降、先進国では心理学的なものの見方や精神分析的な人間観が支配的になりつつある。「動機の不可解な犯罪」が起きると、マスメディアは精神科医や心理学者にコメントを求め、ワイドショーでも、PTSD、ADHD、人格障害といった心理学的語彙が無造作に飛び交う。カウンセラーが若者のあこがれの職業になり、大衆文化においてはトラウマ・フィクションや告白本が流行する。さらに、災害時や教育現場では「心のケア」や「カウンセリング・マインド」が叫ばれる。いまや、社会全体が「心理学化」しているのだ。
こうした現象に問題はないのだろうか。「心の理解」の美名のもとに踏みにじられるものはないのか。本書は精神科医である著者が、内側から「心理学化」の様相を眺めて遠因を探り、そのゆきすぎや退行に注意を促す目的で書かれた。そこから見えてくるものは、我々自身と現代社会が抱える根深い問題である。
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【簡易目次】
はじめに [001-008]
目次 [009-013]
I章 表象されるトラウマ――書籍・音楽編 015
II章 表象されるトラウマ――ハリウッド映画編 037
III章 精神医学におけるトラウマ・ムーブメント――PTSD、多重人格、ACにおける濫用 059
IV章 カウンセリング・ブームの功罪――来談者中心の弊害、そして心のマーケット 081
V章 事件報道にかつぎ出される精神科医――「不可解な犯罪」を物語化する欲望 123
VI章 こころブームから脳ブームへ?――「汎脳主義」への批判 149
終章 「心理学化」はいかにして起こったか――ポストモダン、可視化、そして権力 167
巻末対談 「社会の心理学化」がもたらしたもの〔宮崎哲弥VS斎藤環〕 [213-235]
おわりに(二〇〇三年九月九日 市川市行徳にて 斎藤環) [236-238]
- 感想投稿日 : 2016年10月24日
- 本棚登録日 : 2016年6月29日
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