ピアリング戦記 日本のインターネットを繋ぐ技術者たち

著者 :
  • ラムダノート (2022年7月13日発売)
4.40
  • (5)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 100
感想 : 8

業界(と通信技術)の歴史。
著者による告知記事はこちら。
[https://www.geekpage.jp/blog/?id=2022-7-13-1]


【書誌情報】
『ピアリング戦記 ― 日本のインターネットを繋ぐ技術者たち』
著者:小川晃通
出版社:lambda note
価格:¥2,000(税込¥2,200)
頁数:150
版型:A5判
ISBN:978-4-908686-14-6
2022年7月13日 第1版第1刷
2022年10月31日 第1版第3刷 発行

 いまや世界中のあらゆる社会を支えるインターネットは、特定の国家や組織が管理・運営しているわけではありません。インターネットは、TCP/IPという技術の仕様にしたがって作られた機器やプログラムであれば自由に接続できる、オープンなネットワークです。
 とはいえ、だれもが勝手気ままに自分の機器やネットワークを繋ぐだけでは、世界中を相互に接続するようなインターネットは実現できません。その裏では、さまざまな組織や人により、お金を伴う競争と協調の世界が繰り広げられています。
 技術的な仕様の解説だけでは語れない、人と人を繋ぐネットワーク技術だからこそ立ち現れる生々しい舞台裏を、2020年代の日本のインターネットの大規模構造に影響をもたらした当事者たちへの取材とインタビューをとおして解き明かします!

 本書の主なトピック
・インターネットが「ネットワークのネットワーク」と形容されるのはなぜか?
・自律したネットワークどうしを繋ぐためのBGPと、その接続形態の1つとしてのピアリングとは?
・ピアリングの主な舞台となるIX(Internet eXchange)の役割
・日本における主なIXの生い立ちと、そこでのピアリングの実像
・ピアリングにも大きな影響をもたらすハイパージャイアンツとは?
[https://www.lambdanote.com/products/peering]

【目次】
はじめに
 本書の構成

第1章 ピアリングを巡る静かな戦い
 1.1 インターネットはネットワークのネットワーク
 1.2 ルーティングプロトコルとしてのBGP
 1.3 ASを運用する組織と組織を繋ぐBGP
 1.4 BGPの仕組みの基本
 1.5 ポリシーで決まる経路
 1.6 組織の力と対価がBGPの経路を決める
 1.7 ピアリング
 1.8 ピアリングのルール
 1.9 なぜピアリングを行うのか?
 1.10 デピアリング

第2章 データセンターとその立地
 2.1 BGPルータは同一のL2セグメントで運用される
 2.2 データセンターの価値は入居している事業者でも決まる
 2.3 価値のある拠点は集中しがち
 2.4 新たな拠点に参入するときに考えること
 2.5 2010年代に大阪では何が起こっていたか(インタビュー)
 2.6 堂島問題

第3章 IXとは何か? 国ごとに違うIX
 3.1 みんなでBGPルータを繋ぐ場としてのIX
 3.2 パブリックピアリングとプライベートピアリング
 3.3 国や地域ごとに違うIX
 3.4 日本のIX
 3.5 NSPIXPが切り開いた日本のIXとピアリング(インタビュー)
 3.6 商用IXの始動:JPIXから見た日本のインターネット(インタビュー)
 3.7 もう1つの選択肢、JPNAPの誕生(インタビュー)
 3.8 アジアを代表するIXとなったBBIX(インタビュー)
 3.9 10年前のピアリング状況とコミュニティ活動によるIXの変化(インタビュー)

第4章 ピアリング相手の探し方
 4.1 どこで誰とピアリングするか?
 4.2 探し方いろいろ
 4.3 GPFやPeering Asiaなどのピアリングイベント(インタビュー)

第5章 コンテンツ事業者の台頭
 5.1 ハイパージャイアンツ
 5.2 キャッシュサーバをどこに置くのか?
 5.3 動画コンテンツによるトラフィックの増加
 5.4 プライベートピアリングの増加
 5.5 NTTドコモとピアリングする意味(インタビュー)
 5.6 BIGLOBE が ISP 視点で見てきた日本のトラフィックの変化(インタビュー)

あとがき
発起人より

索引

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 007.情報社会e
感想投稿日 : 2022年12月11日
本棚登録日 : 2022年12月11日

みんなの感想をみる

ツイートする