生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2020年10月15日発売)
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本棚登録 : 730
感想 : 35

2021年6月
この本を手に取る人は自分の誕生について否定的、あるいは疑問を持っている人なのだろう。自分の生命について無意識に肯定的な人がたぶん多数派なんだけど、そうでない人も一定数いて、そういう人は地として常に「生きる意味」を問うて生きている。まあわたしのことだが。「人生」の手前の「生命」についての哲学を欲していた。
反出生主義は生まれてこないほうがいい、子どもを産むのは悪という理論である。なんとも極端な理論のような気もするが、理論ゲームのように構築された反出生主義の土俵に乗ってしまうとあらかじめ用意された枠組みに取り込まれ反論ができないようになってしまう。
反論を試みる時、別の土俵に立つことを意識しないといけない。反論の土俵として、仏教哲学やニーチェの思想を挙げつつ、著者は誕生肯定を唱えている。生きる意味を考えるよりもどうしたら誕生を肯定できるのか考えることを勧める著者にまっすぐに励まされた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年7月18日
読了日 : 2021年6月12日
本棚登録日 : 2021年6月12日

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