年末年始に読む本は、出来るだけ仕事から遠そうな本にしたいと思う。
という観点から、年末年始には自然科学系の本をよく読みます。とくに、日常から遠いという観点からは、宇宙論とか、量子力学とか、「何世紀も分からなかった◯◯予測がついに証明された」みたいな数学ものとか、読みます。
(複雑系とか、ネットワーク理論とか、生命システム論とかも、好きでよく読むのだけど、やはり、これは、仕事に使えそう、とか考えてしまうので、年末年始にはあまり読みません。)
というわけで、超ひも理論のブライアン・グリーンの「隠されていた宇宙」上下2冊を2日間で一気読み。
物理学のさまざまな理論、相対性理論、インフレーション理論、量子力学、超ひも理論、情報理論などを突き詰めて考えていくと、結果として、宇宙は複数(というか、無限個)あると考えないと、つじつまがあわなくなる、ということになっている、という話し。
たしかに、最近、多宇宙(ユニバース⇒マルチバース)の本はかなりでている。が、さまざまなマルチバース論をまとめて、一つ一つの背景にある理論からどうして多宇宙になるのかを、ここまで親切に比較検討した本は、なかったと思う。
グリーンの本は分かりやすいことで定評があるので、マルチバースの入門書として、おすすめです。
とくに専門知識を必要としない、一般の読者を対象とした本ですが、マルチバースの話しが中心なので、ベースとなる相対性理論、量子力学、超ひも理論の入門書は、1〜2冊読んだあとのほうがいいかもしれません?
思えば,グリーンの「エレガントな宇宙」を6〜7年前に読んだのが、私が、自然科学系のポピュラーサイエンスにハマったキッカケだったな〜〜〜。「エレガントな宇宙」を読んだときには、「多宇宙論」への展開の可能性について言及はあるものの、そこのところは控えめで、超ひも理論から、いかにして実験で検証可能な予測をつくるか、ということを重視する堅実な科学者という印象だった。
が、グリーンさんも「エレガントな宇宙」を書いてから10年以上たって、かなり「実証可能性」は後退して、多宇宙派、なんでもあり派になった感じです。
この宇宙にいる私たちにとって、他の宇宙があるかどうか、は分かるわけないと思う訳だけど、実証出来るか、どうかは別にして、これだけ物理学のさまざまな理論が多宇宙を暗示しているなら、それでいいんじゃない?という気分ですね。
かぎりなく大きい宇宙があって、その宇宙は一つではなく、無数に、つぎからつぎに生まれ続けている。
と考えると、日常のいろいろな悩みは、相対的にどうでもよくなりません?
- 感想投稿日 : 2017年5月1日
- 読了日 : 2014年1月4日
- 本棚登録日 : 2017年5月1日
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