武藤章 昭和陸軍最後の戦略家 (文春新書 1417)

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  • 文藝春秋 (2023年7月20日発売)
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感想 : 9
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A戦犯で最年少で処刑された武藤章についての本。

と言っても、取り扱う時期は、日米戦争決定に向かうプロセスが中心で、武藤章を中心とした戦前の意思決定プロセスを解説するという感じか?

武藤章はなんとなくあまり深く考えない武闘派というイメージを持っていたのだが、この本によるとなかなかの戦略家のようで、日本が勝つ見込みのない対米戦争を避けるべく最後まで頑張っていたらしい。

その戦略の鍵は、日独伊の三国同盟にソ連を入れた四国同盟を作り、英米などと対応することで、勢力均衡をはかり、アメリカとの戦争を回避しつつ、南方の資源を獲得すること。

四国同盟はできなかったが、日ソ流立条約は締結することに成功し、アメリカにもある程度対抗することに成功するが、独ソ戦が始まってしまい、その戦略は崩壊する。

そうした中で、次なる戦略がな買った武藤は、対米戦争積極派の論陣を破ることができなくなり、現地に飛ばされる。

このあたりのダイナミズムは、やはり歴史の奥深さがあって、なんとなくのイメージで人を判断してはいけないと改めて思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年9月6日
読了日 : 2023年9月4日
本棚登録日 : 2023年9月6日

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