ナラティヴ・アプローチに興味をもっていろいろ読んでいるのだが、「オープン・ダイアローグ」については、ネーミングがなんだか普通ぽいので、読むのは後回しにしていた。
が、実際に読み始めると急速にハマりつつある。
やることはシンプルそのもの。名前のとおり、オープンなダイアログというほかない。
対話のなかで、重い精神疾患の患者の妄想や幻聴をふくめた多様な声、つまりポリフォニーが響く。ここでは、治療は目的とされず、対話が目的。そして、治療は対話の副産物として生まれる。
この本は、斎藤環さんのコンパクトな入門的解説とヤーコ・セイックラの論文3本をおさめたもの。(なぜか、本の表紙にはセイックラの名前がない)
書き方がなんだか親しみがもてるし、イラストも素敵だ。
難解な本が多いナラティヴ系のなかで、なんだかオアシスのような本だ。
解説と論文の内容的な重複はあるものの、同じような説明を自然と2〜3度、読み直すことで理解が定着するというメリットもある。
やることが、シンプルでわかりやすいといっても、オープン・ダイアローグの思想がシンプルなわけではない。思想的な背景を読むとなるほどの説得力、深さがある。
ナラティヴ系の方法論って、テクニック以上にセラピストのあり方というか、かかわり方、そしてその背景の思想が重要な気がしていて、思想的ななるほど感というのは、とても大切だと思う。
といっても、実際にどう相手とかかわるかというのは、これまた別の難しさがありそうで、この本のなかにある会話を読むと、「???」で、とてもそういうふうな話しかたはしないだろうな〜と思った。
いずれにせよ、好奇心がむくむくと湧いてきた。
- 感想投稿日 : 2019年5月11日
- 読了日 : 2019年5月11日
- 本棚登録日 : 2019年5月11日
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