オープンダイアローグとは何か

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  • 医学書院 (2015年6月22日発売)
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感想 : 58
5

ナラティヴ・アプローチに興味をもっていろいろ読んでいるのだが、「オープン・ダイアローグ」については、ネーミングがなんだか普通ぽいので、読むのは後回しにしていた。

が、実際に読み始めると急速にハマりつつある。

やることはシンプルそのもの。名前のとおり、オープンなダイアログというほかない。

対話のなかで、重い精神疾患の患者の妄想や幻聴をふくめた多様な声、つまりポリフォニーが響く。ここでは、治療は目的とされず、対話が目的。そして、治療は対話の副産物として生まれる。

この本は、斎藤環さんのコンパクトな入門的解説とヤーコ・セイックラの論文3本をおさめたもの。(なぜか、本の表紙にはセイックラの名前がない)

書き方がなんだか親しみがもてるし、イラストも素敵だ。

難解な本が多いナラティヴ系のなかで、なんだかオアシスのような本だ。

解説と論文の内容的な重複はあるものの、同じような説明を自然と2〜3度、読み直すことで理解が定着するというメリットもある。

やることが、シンプルでわかりやすいといっても、オープン・ダイアローグの思想がシンプルなわけではない。思想的な背景を読むとなるほどの説得力、深さがある。

ナラティヴ系の方法論って、テクニック以上にセラピストのあり方というか、かかわり方、そしてその背景の思想が重要な気がしていて、思想的ななるほど感というのは、とても大切だと思う。

といっても、実際にどう相手とかかわるかというのは、これまた別の難しさがありそうで、この本のなかにある会話を読むと、「???」で、とてもそういうふうな話しかたはしないだろうな〜と思った。

いずれにせよ、好奇心がむくむくと湧いてきた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年5月11日
読了日 : 2019年5月11日
本棚登録日 : 2019年5月11日

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