「かつて私は子供で、子供というものがおそらくみんなそうであるように、
絶望していた。」
どれだけ不健康に育ったんだ。
ウエハースて作った椅子は、幸福のイメージそのものだという。
そして、目の前にあるのに決して腰を落とせないという。
私はそれを手に入れたいのだろうか?
絶望と手を携えて生きる私がそれを望んでいるようには
とても見えないのだけど。
この作家さんはいつもそれらを儚く脆く美しい物のように描くので、
幸福と死や絶望、狂気は全て同じもののように錯覚してしまう。
喪失の痛みと絶望を胸に抱き、
生きたまま腐敗しているような私。
恋人に対し、「過不足はない。」という私。
不健康極まりなく全く理解は出来ないけども、
先に読んだ「金米糖・・・」と違って、
その雰囲気に浸るのは嫌ではない、
初期の江國さんらしいまぁまぁいい作品でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本
- 感想投稿日 : 2017年1月21日
- 読了日 : 2017年1月17日
- 本棚登録日 : 2016年7月12日
みんなの感想をみる