幕末から明治にかけての徳川慶喜、勝海舟、渋沢栄一、3人の動きやそれぞれの考えがまとめられた一冊。その時々のそれぞれに対する心情までもよく書かれている。
ただ、サブタイトルに(栄一と回収の)「二人の暗闘」とあり、また海舟の死をもって「栄一と海舟との水面下での戦いも終わった」と書かれており、あたかも二人の間で論戦があったかのような記述があるが、実際は、明治も進んだ頃に、まだ慶喜が静岡に引っ込んだままなのは、海舟のせいだと思い込んで、海舟に一方的に不満を持っていただけのようである。私はサブタイトルから、福沢諭吉と海舟の間にあったようなやりとりが、この二人の間にもあったのかと期待して読み進めたが、どうもそのようなことはなかったようである。
ちょっと肩透かし。
また、栄一が最初に海舟に会ったときに小僧扱いされて、ムッときたのが、そもそもの始まりのような記述があるが、私が読んだ限りでは、栄一は「伯(勝)とは好んで会ったものである。(海舟の気力が)全然段違ひで、、、、小僧のやうに眼下に見られ、、仏蘭西引揚には、、、などと褒められなんかしたものである」と懐古しており、ずっと後に海舟の慶喜への対応に不満を持ったきっかけだったとは思えない。
この時栄一28歳、海舟45歳。むしろ小僧扱いされても褒められて嬉しかったのではないか、だから「好んで会った」と思われる。
二人の間に暗闘はなかったというのが私の結論である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
江戸文化
- 感想投稿日 : 2021年3月18日
- 読了日 : 2021年3月18日
- 本棚登録日 : 2021年3月18日
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