細部まで実によく計算されたSF作品。
まず設定が素晴らしい。ターゲットの夢の中に入り、秘密を抜き取ったり、あるいは都合のいいアイデアを植え付ける、というものだが、夢を舞台にしているため、現実世界ではあり得ない映像表現を実現している。さらに対象の潜在意識に迫るため、夢の中で夢を見る事を繰り返し、多重的な構想にしているため、複数の場所で同時にアクションが見られるため、映像的に見ていて飽きない。
しかし映像表現以上に、物語にこの設定が活用されている。夢に置ける上部階層で起こった出来事が、下部階層にも影響を与えるため、彼らの行動一挙一足に嫌でも注目しなければならない。
また物語の本流とは別に、主人公が過去に行った「罪」が支流として流れている。そのため夢の中だけでなく、現実世界でも現在と過去の階層に別れた話になっていると言えるが、それが夢の中で潜在意識をさかのぼることで、避けては通れない問題となり、夢に潜ることへの功罪を、視聴者に示す構成は見事である。
また二段落ち、三段落ちにもなっており、最後の最後、エンディングの曲が流れても気が抜けない。恐らく全てに制作者の意図があるから。
話が難しく、最後も考えさせられる作品であり、人により好き嫌いは別れると思う。しかし映像的にも物語的にも、素晴らしく計算された傑作だと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2012年12月27日
- 読了日 : 2012年12月27日
- 本棚登録日 : 2012年12月27日
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