ファンタジー小説の名作。ライトノベルの先駆けとなった作品と言えるけれども、メディアミックスされた展開や、そもそもが『ソードワールド』というTRPGの世界観を踏襲した小説として、この作品が切り開いた地平はかなり大きいと思う。
私が注目したいのは、巻頭の登場人物の紹介がイラスト付きで書かれているということ。この工夫によって、「ファンタジー」という当時は一般的ではなかったジャンルについて、ある程度のイメージが描ける作りになっている。たぶん、これはTRPGの方法論から導入されて、そこから一般化した方法だと思う。今はそこからもう一歩進んで、象徴的なシーンを描くという方法に変わっているけれど。
物語的には「(パーンが)行って行ったままの物語」になっているのは、最初から何巻も刊行することが前提だったからだと思う。田舎の若者が仲間や英雄と触れ合うことで成長する物語だけれど、単体として読めば、あまり上手い構造になっているとは思えなかった。やはり登場人物が多すぎるし、ロードス島を右上から左下まで移動するにしても展開がアッサリしすぎな気がする。
でも、作者の文章力で救われている。見せ場を見せ場として書く能力は突出していると思う。特に、冒頭のゴブリン退治は、これ以上のゴブリン退治は読んだことがないなぁと思うくらい、物語に入り込む入り口として申し分なかった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年5月17日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年5月17日
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