日本の女性とはなにか、「ではなく」、日本人とは何かを体現される皇后陛下。
かような人間でありたい。素直にそう思わせる皇后陛下の人間性はもちろん、それを見事に描き切った著者の能力も際立ちます。
【本書抜粋 美智子皇后】
古代ではない現代に、海を静めるためや、洪水を防ぐために、一人の人間の生命が求められるとは、まず考えられないことです。ですから、人身御供というそのことを、私が恐れるはずはありません。しかし、弟橘の物語には、何かもっと現代にも通じる象徴性があるように感じられ、そのことが私を息苦しくさせていました。
今思うと、それは愛というものが、時として過酷な形をとるものなのかも知れないという、やはり先に述べた愛と犠牲の不可分性への、恐れであり、畏怖であったように思います。
ーーー
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
22:民族・国家(日本)
- 感想投稿日 : 2016年4月2日
- 読了日 : 2016年4月2日
- 本棚登録日 : 2015年10月8日
みんなの感想をみる