虹の岬の喫茶店 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2012年11月12日発売)
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暖かくハートフルな気持ちになる物語
6編からなる短編連作で一つ一つの物語が暖かい

ストーリとしては、岬の喫茶店を営む60代の未亡人の悦子。美味しいコーヒーと共に、音楽を選曲してくれるという設定。
この店に引き寄せられるように様々な人たちが訪れます。
それぞれのエピソードに癒されます。

■春・アメイジンググレイス
妻を亡くして、娘と二人暮らしになった陶芸家。
娘と「虹さがしの冒険」の旅で訪れた岬カフェ。
そこで流される曲がアメイジンググレイス
もちろん、YouTubeで聴きました。
本田美奈子が歌ってました。
うーん、よかった。

「人間って、生きているうちに色々と大切なものを失うけど、でも、一方では「アメイジング・グレイス」を授かっているのよね。そのことにさえ気づけたら、あとは何とかなるものよ」

■夏・ガールズオンザビーチ
就職活動に悩む学生
岬カフェで出会った人たち、その生き様を感じて自分の道を取り戻します。
グループサウンズ、夏の曲ですね。

■秋・ザプレイヤー
深夜、岬カフェに忍び込んだ泥棒
しかし、そのまま受け入れた悦子との会話、その優しさから生まれ変わることを決意します。
「間違いを犯す自由が含まれていないのであれば、自由は持つに値しない」
「人はね、いつかこうなりたいっていうイメージを持って、それを心のなかで祈っているときは生きていけるの。どんなことがあってもね。でも、夢とか希望とかをなくして、祈るものがなくなっちゃうと、つい道を誤ったりするものなのよ」
この曲は荘厳な曲でした

■冬・ラブミーテンダー
ひそかに悦子に思いを寄せる常連客のタニさん。
想いを伝えることもできず、大阪へ転勤
流れる曲はラブミーテンダー
いいですね。大人の想い

■春・サンキューフォーザミュージック
甥っ子の浩司のエピソード
昔のバンド仲間を集めてのライブでやりたかった事
これまたよかった
やんちゃしていた当時の浩司を叱った言葉
「あなたにも自由に生きる権利は与えられているけど、他人に迷惑をかける自由だけは与えらえれていないのよ」

■夏・岬の風と波の音
そして、悦子の物語
彼女が、岬のカフェで待ち続けた虹
そして、流れるBGMは...
うーん、染みる。これは染みますね。

ということで、とても暖かい気持ちになれるハートフルな物語。
自分がいま、岬のカフェに行ったら、どんな曲をかけてくれるのでしょう...

とってもお勧め

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年9月23日
読了日 : 2022年9月23日
本棚登録日 : 2022年9月23日

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