反=恋愛映画論──『花束みたいな恋をした』からホン・サンスまで (ele-king books)

  • Pヴァイン (2022年8月31日発売)
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感想 : 8
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古今東西の恋愛映画を著者2人の対談形式で分析した一冊。時代共に変遷してきた恋愛の描かれ方という縦と同時代・同ジャンルの横を圧巻の知識量と考察量で結び付けてくれる。ホン・サンスの批評的難攻不落っぷりやジャンル軽視ゆえ本格的映画批評の俎上になかなか乗りにくいキラキラ青春映画論など興味深い内容ばかり。個人的には4月に観たレオス・カラックスの『アネット』が全然ハマらなかったのだが、本書の「編集が存在していない」という評に思わず膝を打った(自分は庵野秀明やエドガー・ライトのようなスピーディーでリズミカルな編集の作品が好みなので)ただ、取り上げられた映画の内で配信オリジナル作品が『ハーフ・オブ・イット』『マリッジ・ストーリー』『ロスト・ドーター』の3本だけ、さらにテレビドラマ・テレビシリーズに至ってはほとんど触れられていないのは残念。この配信・ピークTVの時代に「映画」と銘打って本当に劇場映画のことしか話さない批評はさすがに時代錯誤で、それこそ「半=恋愛映画論」だと思う。なので、書いてある内容は星5つ級に大変面白かったけど、語るべき対象が半分ごっそり抜け落ちてしまっているという意味で星3つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月6日
読了日 : 2022年11月6日
本棚登録日 : 2022年11月6日

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