ナチスの「手口」と緊急事態条項 (集英社新書)

  • 集英社 (2017年8月19日発売)
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1:緊急事態条項を利用したナチスの手口
・ナチスは国民の圧倒的支持ではない。少数派政党。
・第一次世界大戦の敗戦と世界恐慌で政治が混乱し、ヒンデンブルク大統領が大統領緊急令を多用した。議会制民主主義に国民が絶望していた。
・ナチスは突撃隊という暴力装置を持っていた。その組織がイチャモンを付けて逮捕していった。議事堂炎上もナチスの自作自演。

2:なぜドイツ国民はナチスを支持したか
・敗戦と世界恐慌で、失業率30%。ワイマール帝国は見放されていた。共産党とナチが受け皿だった。
・第一次世界大戦で旧ロシアから、東方ユダヤ人が難民のようにドイツに来ていて、独特の存在だった。民衆は風変わりさに恐れていた。
・ドイツ民族共同体が、階級意識を打破すると考えた。
・下層中間層が、陰謀論に振り回され、排外主義となった。

3:戦後のドイツは、どう対応したか
・憲法の変えられない基本原理を定めている。それを攻撃する者は基本権を停止する。

4:日本の緊急事態条項は
・発動要件が緩い。法律で定めるの多用。
・統治行為論で裁判所が手を引いているから、均衡が取れない。
・日本はビビらせて「安心の保証」に付け込む。

5:ドイツは過去をどう捉えようとしているか。
・1950年代の西ドイツでは、アウシュビッツは語られていなかった。反ユダヤも復活しそうだった。
・1961年のアイヒマン裁判で、語られなかったナチが知らされた。若手議員たちが、ナチの時効反対唱えた。
・テレビ映画の「ホロコースト」が、国民の心を動かした。
・歴史と向き合わなければならぬ、という市民運動。「つまづきの石」など。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年12月7日
読了日 : 2021年12月7日
本棚登録日 : 2021年12月7日

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