沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2001年12月26日発売)
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沈まぬ太陽を読んで。

 生きること、働くこと、誠実でいること。
 何にも背かず、自分の正義を貫いた人が、なぜ周りの人よりも苦労をしなければならないのか。なぜ日陰に隠されてしまうのか。
 山崎豊子さんの本で、初めて手にした「沈まぬ太陽」は、自分に「生きることの難しさ」と、「耐え難い仕打ちに耐えることの意義」を教えてくれました。
 自分に非のないつもりで生きていても、邪魔者と思われる。その誠実さが邪魔、優しさが邪魔、正義感が邪魔なのだ、と。社会に蔓延る無念の陰性感情は、輝かしく、引力の強い人に向けられる。それを跳ね除ける強さを、主人公はどのように湧き出していたのだろう。
 自分の人生を、人並みに謳歌することは、許されたものだけの特権であろうか。
 私は、私の、私だけの人生と命を、運命から見限られるまで、生きていこうと、強く思った作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月3日
読了日 : 2023年8月3日
本棚登録日 : 2023年6月21日

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