日本の公教育の基盤は危うい。投入する資源を増やすか、やることを減らすかしかないが、現行制度では後者は望めず、むしろ負担と責任は拡大してしまっている。このギャップは、教員個々人から奪う事で埋め合わされている。持続可能な状態とは言えない。
「定額働かせ放題」を合法としている給特法が、この危うい状態を温存させており、課題の可視化を阻んでいる。
新たな制度設計が必要だろう。
制度の設計には指針が必要だ。
そのとき、エビデンスにもとづく政策立案が行われることが重要だが、それが近視眼的に拙速に行われてしまうことには問題がある。たとえば限定的な学力テストの成績向上のような短期的な目標に特化した教育の編成には問題があるだろう。
そこで、「自由の相互承認」という哲学の指針原理がしめされる。
「教師の仕事の本質、それは、すべての子どもたちに、〈自由の相互承認〉の感度を育むことを土台に、〈自由〉に生きられるための〈教養=力能〉を育むことにある。そのことによって、この市民社会を最も根底において支えることにある。」(p.75)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
教育と学習
- 感想投稿日 : 2018年11月3日
- 読了日 : 2018年11月3日
- 本棚登録日 : 2018年10月29日
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