登校拒否になった高校生薫が、一風変わった叔父左内兼定の元に滞在する一夏を描いた作品。兼定にも複雑な過去がある。
薫の高校生活が冒頭に描かれるが、体育教師が大きな顔をしているという記述に自分の高校生時代を思い出し、苦々しくなる。
白浜をモデルにした砂里浜、そこで出会う人物も皆魅力的である。
松家仁之の小説はデビュー作の『火山のふもとで』がとても良かったのだがその後は読んでいなかった。
作中の兼定のセリフで、
「いちばんうまいのは塩むすびだ。炊き立てのごはんで握ると、昼にはちょうどいい冷めかげんになる。冷や飯をを食わされるってまずいものみたいにいうがね、冷や飯は食べものの王様だよ」
というのがあり、そのとおり!と思った。
なお、夏が終わった少年のその後については、何も描かれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(国内)
- 感想投稿日 : 2021年12月12日
- 読了日 : 2021年12月8日
- 本棚登録日 : 2021年12月8日
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