マーカス・セジウィックかあ。全然知らなかった。うーむ、また読みたいYA作家が増えてしまった。
舞台は1910年、ギロンというスウェーデン北部の町。(ちなみに、ギロンとは雷鳥という意味らしい)もちろん寒い。凍った湖の上を犬ぞりで走っちゃえるくらい……でも、危険なのでそんなことはしないほうがいいようだ。主人公・シーグの父、エイナルは、犬ぞりで湖上を走っている際に氷が割れて湖に落ち、命を落とした。
父の遺体をシーグが発見するところから、この物語がはじまる。いきなり息のつまるような展開。わたしは電車の中とか、近所の某熱烈中華食堂とか、そういった暖かい場所でこの本を読んだが、寒さがひしひしと伝わってくる描写に身も縮む思いだった。
お父さんが死んでただでさえ大変なところに、荒くれ者のウルフが現れ、黄金の在り処はどこだ、とシーグを問い詰めるからさあ大変。この男、かつてアラスカで鉱石分析官を務めていた父と因縁があるらしいのだが、シーグは黄金の話なんて、聞いたこともない!
と、シーグの脳裏に、父の遺したリボルバーのことがよぎる。父は銃を愛し、その使い方や仕組みを細かくシーグに教えていた。あれを使えば、この状況を打開できるかもしれない。しかしその一方で、死んだ母は聖書を愛し、敵をも許し愛しなさいと語っていた。息子は、どちらの教えに従うべきなのか――というようなお話。
伏線が気持ちよく回収されていく面白さはもちろん、海外文学らしいちょっと持って回った言い回しが味わえて、面白かった。
父の教えも母の教えも守ったシーグの語る言葉が、また誰かとともに生きていくのだろうかと想像してみると、人と人のつながりって奥深いなぁって思う。
この物語には1899~1900年のアラスカも描かれているんだけど、アラスカがロシア帝国からアメリカに売られたのは1867年のことだそうで、いやあ、これホントアメリカはいい買い物だったなぁ。どうも資源が眠ってるっぽいし、アラスカがロシア領だったら、国防上怖くてしょうがなかっただろうな。
あと、寒い寒い小説を読んだ後にやってきたチゲ味噌ラーメンは絶品でした。
原題:REVOLVER
- 感想投稿日 : 2013年2月16日
- 読了日 : 2013年2月12日
- 本棚登録日 : 2013年2月12日
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