これまで『でも女』(9784087486919)・『ひとりの女』(9784087461268)と読んできてからの、群ようこ先生による『〜女』シリーズ三作品目を積読から手に取った。
正直、過去の作品に登場した数々の女性主人公達は個人的にはスッと受け入れ難いというか、場合により嫌悪も抱いたので恐る恐る読み始めたが、案の定というか、やはりこの作品集も冒頭からしんどかった。
10話収録。
過去作品も含めた解説を読む限り、これら『〜女』シリーズ作品群は’共感’’リアル’’抱腹絶倒’みたいな点が魅力なのだと見受けたが、果たして本当にそうなのだろうか。
いわゆるテンプレ的昭和の男性優位社会をこき下ろす、という方向性や’○○な女’的な女性同士のいざこざを面白がるというコンセプトはわかる。
そうなんだけど、結局この物語を読んで何を感じとれば良いのかがちょっとよく分からない。
溜飲を下げるにしても、どの話も突然終わってしまうので’え、だから?’と不完全燃焼だし、いざこざの模様も状況を書くだけ書いて’こんな女がいますよ〜’で終わってしまうのでオチもなければ読んだ我々のフラストレーションのはけ口もない。
少なくとも10刷まで版を重ねているので売れている(売れた)のだろうと思うが、女性が読んだらまた違った感想になるのだろうか。
とはいえ、〈だからおやじはイヤになる〉で描かれたパソコン普及黎明期の「プロバイダに接続しなきゃいけませんね」(p46)とか「ブラインド・タッチっていうんです。」(p49)みたいな文章はすごく懐かしくてホッとしたし、〈とりあえず子連れでレジを打つ〉は20年前当時の状況は言うに及ばず現在においてもシングル育児問題として実際感を持って読むことが出来た。確かに今の私の職場に乳幼児は連れていけんな…。
10刷
2022.8.24
- 感想投稿日 : 2022年8月24日
- 読了日 : 2022年8月24日
- 本棚登録日 : 2022年8月24日
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