教育は遺伝に勝てるか? (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版 (2023年7月13日発売)
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タイトルに惹かれ購入。
中高で学習したメンデルの法則についてはじめに述べられており、遺伝と環境が成長に与える部分について分かりやすく読み進めることができた。

やはり、遺伝の影響は環境よりも大きい。圧倒的である。また、何がどのように遺伝するかは完全にランダムであり予測できないが、環境と遺伝の影響率について、以下のような事項が数字で示してある。
身長…遺伝80-90% 環境10-20%
知能(児童期)…遺伝41% 環境33%非環26%
知能(青年期)…遺伝55%環境18%非環24%
知能(成人期)…遺伝66%環境16%非環18%
成績…遺伝(小)25-55%→(中)14-40%
*理数系の科目の方が遺伝率は低い。
パーソナリティ…遺伝35-50%環境0%非環50-65%
*精神疾患・発達障害も環境0%

遺伝子の組み合わせは無限にあり、それゆえに一人ひとりの個性が生まれる。中には珍しい遺伝子の組み合わせにより、いわゆる「どちらの親にも似ていない子ども」も生まれ得る。

子育てする身として、諦念を持った上で子どもに関わるのが大切だと気づいた。楽観的に。
遺伝とは直接的には関係ないかもしれないが、この本を読んで、自分の心に突き刺さったのは「そもそも個性的であること、何らかの才能を発揮すること、志をもって人生を貫くことをよかれと考えること自体が、一時の流行にすぎません。」という一文。自分は改めて出来もしないのに完璧を求めるエセ完璧主義者だと気付かされた。
先日読んだ思考の整理学と通ずる部分がある。
肩肘張らず生きていきたい。前向きに。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教育研究
感想投稿日 : 2023年8月9日
読了日 : 2023年8月9日
本棚登録日 : 2023年8月9日

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