夏の吐息 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2008年6月13日発売)
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本棚登録 : 506
感想 : 57
5

《死を背景としつつ、それに抗う生を、いっそう鮮やかに浮かびあがらせている。》

男と女の話ではあるが、(男と女と言っても、死んだ友達の不倫相手だったり、偶然知り合ったかなり若い男だったり‥)それぞれの人生が、短編ながら読みやすくまとまっている。どの話の終わりも決して悲観的でなく、ポジティブな読後感に浸れる。

最後の春爛漫は小池真理子さんらしからぬ、男と女な友情が描かれていて、意外な感じがした。幼なじみのカズは、決して恰好よくはないけれど、関西弁と笑顔がよく似合う、死んだ妻を愛するあったかいイイ男とみた。40、50歳になっても続く男女の友情って、すっごく憧れる。

全編を通して、透明感がある。
小池真理子さんの描く文章はやっぱりすき。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月18日
読了日 : 2021年10月18日
本棚登録日 : 2021年10月18日

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