ショックなことがあって、度々その光景がフラッシュバックする。そうなるとどうしようもなくて、パソコンの電源ケーブルを引っこ抜くみたいに無理矢理感情をシャットダウンする。
これは夢ね。ああ悪い夢さ。とかなんとか言って精一杯心を遠くへ飛ばす。
このやり方がいつまで有効なのか分からない。
『ソラニン』が嫌いだ。
あっち側に行ってしまった愚かな種田が嫌いだ。
何が嫌って、泣きながら赤信号に突っ込んでいった種田の心情が痛いほど理解出来るからだ。
あの表情が語るものがなんなのか知っているからだ。その痛みと、焦燥と絶望を、私も知っている。
多くの人が多分知っている。
心底しんどい時は羨ましいとさえ思う。本当に最悪だ。
27で死ねなかった甘ったれた凡人は、しみったれた物語を背負ってそれが不幸とは限らないと信じて生きていくしかない。
それが耐えかねる人生なのかは、生き抜いてみないと分からない。
『ソラニン』もいにおも好きじゃないけど、もう15年以上、いまだに私は年に数回は種田のことを思い出し、平凡な人生になんとか踏み止まり続けている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年6月19日
- 読了日 : 2019年6月19日
- 本棚登録日 : 2019年6月19日
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