壁 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年5月20日発売)
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感想 : 552
4

幻想小説なのか、ディストピア小説なのか。

「理性」が問われていた時代。人々が活字を欲し、娯楽を欲し、小説を欲していた時代の小説。
理性或いは論理が暴力的に主人公に襲いかかる。全く了解不能の論理によって主人公たちは窮地に陥り、そして絶望へ至る。
この物語を通してどういう体験があったかをはっきりと言語化するには自分の読書力が不足している。
しかし、物語として奇妙でおもしろい。


p.126『両極という概念・・・(中略)北極と南極との関係がそのいい例です・・(中略)みなさんの部屋もそれに対する極としての世界の果を発見することによって、はじめて真の世界の果たりうるというわけなのであります。』(pp.127)
『この両極という新しい性質の附加にもかかわらず、世界の果てへの出発が壁の凝視にはじまることには変わりないということ、そして旅行くものはその道程を壁の中に発見しなければならぬということ・・』(p.128)
『考えるは休むに似たし』(p.141)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2019年9月10日
読了日 : 2019年9月10日
本棚登録日 : 2019年9月9日

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