5年ぶりの島田雅彦。無限カノン3部作に幻滅したが、これすごく面白かった。
贋札を用いた金融テロのエンターテイメント小説。
島田のインテリジェンス(読者がうらやむアッパーミドルやハイソサエティの細部の描写、文学や芸術や哲学に裏打ちされたアフォリズム、少し小ばかにしたくなる彼独特のナンセンスユーモアなど)と彼にしかない文体がこちらの帰巣本能をくすぐる。「ああ、これこれ」と彼の文体は読み心地がよかった。やっぱり文体を持つ作家は強い。
そして優しいサヨクとしての立ち位置もぶれずにいて、頼もしい。金融テロ、彼岸コミューンから見据える国家体制、資本主義への批判的精神。
島田の文体と思想。ぶれずに健在。それでいてエンターテイメント。面白い。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年4月20日
- 読了日 : 2015年4月20日
- 本棚登録日 : 2015年4月20日
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