新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2018年1月18日発売)
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本棚登録 : 818
感想 : 71
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 直接的なタイトルに手が伸びやすい一冊だと思う。最近出版されているこの類の例に漏れず、個別のサンプルデータを統計的に処理した結果から見える状況の説明である。
 本書の特徴としては、階級社会への議論を導く印として、女性を17種類に分けて、それぞれの特徴を細かく分析していることにある。確かに、これらの分析を読んでみてよくわかることがある。ただ、その分類は配偶者の立ち位置に強く起因していて、少し運命論的なようなところもあり、本当にそうなのかと疑うぐらいがちょうどいいかもしれない。サンプルデータというのはその切り方でどうにでも見せることができるという一面があるからである。
 問題設定そのものは、これからの日本社会にとって非常に重要である。比較的余裕がある専業主婦グループが、非正規・アンダークラスグループよりも人数が少ないということも驚きであり、かつて日本社会を構成していた勢力は既に主力の座にはいないのである。
 本書が提示する対応策については、これらの現状認識の下、建設的な策を模索してはいるものの、現時点においては打ち手が少ない結果になっている。ベーシックインカムなど以外になかなかこれといった方策が見つけられないでいる。それだけ厳しいということである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本社会
感想投稿日 : 2018年6月17日
読了日 : 2018年6月16日
本棚登録日 : 2018年6月10日

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