装丁が好みだったのと、タイトルから連想される就職活動に興味があったので手に取った。
著者は生物学者との兼業作家だったが、最近作家専業になったとのこと。面白かったので他の本も読みたい。ただ、最寄りの図書館には置いてなくてショック。
本書は平成時代がレトロと言われる時代の物語。ロボティクス技術がさらに進化して人間が仕事をする必要がなくなり、99%の働かない消費者と1%の生産者(エリート) に分類される世界。そんな世の中でも職を求めて職安に来る人達を職安勤務の主人公「目黒」視点で切り取った作品。
AIやIOTが進化した未来について授業の一環で考えたことがある。技術が進歩すれば生活レベルが上がるので仕事の内容や身の回りの問題の質は上がっていると考えた。この物語は授業で考えた世界とほぼ同じ環境だと思う。生活レベルは上がっていても生活リズムの違いで疎遠になったり、行政制度の理不尽さに怒ったり…悩んでいることは現代と同じに思えた。言われてみれば、いつの時代でも人の悩みは変わらないんだな。人の本質は何も変わっていないことにホッとしつつも、悪いところもそのままになっていることに少し悲しく感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年5月11日
- 読了日 : 2021年5月11日
- 本棚登録日 : 2021年4月28日
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