読了。
先日、彼女の詩集「すみれの花の砂糖づけ」を読んで、江國香織という作家の印象ががらりと変わった。
この人は詩人なのだと。
そのポジショニングができたことで、彼女の作品もすーっと入ってうになった。
彼女の小説は設定が不可思議なものが多く、すらすら読めるのだが物語は比較的淡々と過ぎていき大きなミリ上がりのない話が多いように感じている。
言葉や表現が綺麗でアイテムの効かせ方も上手だなお行った印象だった。
小説家ではなく詩人という観点で読むとストーリーはもうどうでもよくひたすら表現だけと感じて楽しめばよい。
いま現在の私の江國香織の楽しみ方はそこだな。
で、この小説である。
やはり淡々と話は進んでいく。
名前が出てこない。
「私」「恋人」「妹」「大学院生」という感じ。
「私」と「恋人」の関係も最初から不倫臭がするのだが、4分の3程読んだところで、恋人に妻がいることが分かる。(その前に子供がいることは分かっているのだが)
設定としては、他の本に比べて不可思議さはない。
まぁ、よくある話だよねという感じ。
逃げるつもりで逃げ切れなかった。
「私」の子供時代の話も出てくるが、自身の子供の頃のことなのだろうかと思ったくらいかな。
表現が魅力的、雰囲気があるやさしい文章を書く、作家さんだな~と思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年7月29日
- 読了日 : 2012年7月19日
- 本棚登録日 : 2016年7月29日
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