あまり動きらしい動きのなかった前巻と比べて、面白かった。
皇帝の急な病で、急遽、猫猫たち医療関係者が選抜試験を受けさせられる。
もちろん、皇帝の病は秘中の秘ということで。
玉体にメスを入れるという大それた挑戦、更に医療者として救える命は何としても救うべきと奔走する人々の姿が緊迫の中に描かれる。
手術前、帝が壬氏や阿多を呼び出すシーンでは猫猫も同席。ついに、あの出生の秘密が語られるかと思いきや、結局、肩透かし。
今回はみなさんのおつしやるように、確かに興味深い展開ではあったが、では、何か進展があったのかと言えば、ほぼない。
紆余曲折があったとはいえ、結局、物語は堂々巡りをしてまた、出発点に戻った感。
やはり、ストーリーの引き伸ばしかなと思ってしまうのだが。
そろそろ、本当の意味で、何らかの進展や動きを期待したい。

2024年4月18日

読書状況 読み終わった [2024年4月18日]

個人的にはかなりオススメ度の高いシリーズ。

少年玉蘭が姉の身代わりとなり、唐代の後宮で華妃という高位の妃として様々な体験を積む。その体験を通じて、彼が人として成長してゆくプロセス、更には彼が後宮で拘わる多彩な人々ー同じ妃、側仕えの女官、宦官との交流などを丹念に描いている。

ー後宮は悲しい場所だ。
と、悟った少年はきっと身代わりを終え男性に戻ったとしても、女性の、ひいては人の心の痛みを理解できる大人になるに違いない。

本作には玄宗皇帝や楊貴妃といった実在の人物も度々登場しており、単なるラノベという枠を越えた興味深さがある。今後の展開に注目したい。

2024年4月13日

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読書状況 読み終わった [2024年4月13日]

面白い。

人を愛することの難しさ、残酷な宿命に流されながらも、必死に抗い生きる人の哀しさを描いている。

恋愛だけでなく、笑いありサスペンスあり、社会派、ヒューマンドラマ、様々なテーマを内包する作品である。
個人的には、男の色香全開の美しい王様が亡き妻やヒロインをひたすら想い悶える姿が良い。
また、ヒロインの元婚約者にして王様の忠臣・親友である武官のヒロインへの片思いも切ない。、

2024年4月13日

読書状況 読み終わった [2024年4月12日]

良かった。

一見、「ツンデレ」カップルに見える国王ヴォルフと寵姫シリルだが、実は互いをひすたら想い合う純愛路線である。
この作品は架空の王国の後宮として描かれている。「寵姫」と「妃」の区別など独自設定もあり、よく判らないところもあるが、おおむね面白く読めた。

ストーリーそのものに大きな起伏はないので、その点、盛りあがりには欠ける。しかし、冷淡で人を寄せつけないヴォルフの経てきた壮絶で哀しい過去、裏切りーそれがために誤解されやすい人柄など、キャラの「光と影」が見事であり、彼のそんな過去は哀しく思えた。
彼の過去を癒やしたのが間違いなくシリルだ。
二人の出会いは運命であったのかもしれない。

2024年4月5日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2024年4月5日]

韓国ドラマ「禁婚礼令」DVD⑤~⑥感想

☆面白い。亡くなった妻(嬪宮)をひたすら恋うるイケメン国王が次第に女官ソランに心を傾けてゆくプロセスが切ない。また、ソラン自身も妻を忘れ得ぬ男に惹かれてゆく。
更にソランを間に義禁府の都事と国王が恋の火花を静かに散らす展開も萌える。
五巻では、王宮だけでなく都のあちこちで亡き嬪宮の亡霊が出没する騒ぎが起こる。その絡繰りの謎解きはミステリー風で、なかなか興味深く、更に実は偽亡霊がさらわれた嬪宮そっくりの妓生だったというところは意外だった。
そこから若い娘たちを誘拐する犯罪組織の解明に繋がるのは更に衝撃展開といえる。
涙あり笑いあり、スリルありで見応え十分、まさに韓国時代劇の面白さを凝縮した展開。
また、ヒロインがイケメン武官の元婚約者という過去も切なさに輪を掛けている。
ラストはどうやら、ヒロインと国王が結ばれるらしいのだが、ヒロインは元々武官の花嫁となるはずであり、結婚寸前であったことを思えば、私としては彼の一途な片想いが報われて欲しい気もする。

2024年4月1日

読書状況 読み終わった [2024年4月1日]

アラブのイケメン王子と健気な日本人青年アルファの純愛。
ストーリーとしては、まあ、王道ではないかと感じた。

王子のイルファーンが男気があって、受けの玲をどこまでも守り抜こう、愛し抜こうとしているところがカッコ良い。アラブの王子というと俺様キャラやツンデレが多い中で、そこがひと味違う好感度の高いキャラだった。
玲もまた、ひたすらイルファーンを想う一途さが良い。
嫌みのないカップルだと思う。

冒頭はイルファーンが彼の「婚約者」が逃走したため、親友である玲に「身代わり」を頼むところから始まる。
序盤くらいまでは、逃げた婚約者というのが誰なのかは正直、私は判らなかったが、途中で、もしかしたらーと思い始めた。
作者さんが「あとがき」ですぐに判るかもと書かれていたけれど、早々に判るということはないのではないか。
一種の謎解きのようなものもあり、単なる王道というだけでなく愉しめた。
ただ、玲が弟の翔太をイルファーンの「婚約者」だと勘違いする設定は、話の流れからして少し不自然なようにも思えた。
ラスト、王太子となった兄のマリク王子と翔太も何となく良い雰囲気なのを匂わせる。もし、この二人も晴れてカップルになるのなら、是非、そちらも読みたいと思った。

2024年3月28日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2024年3月28日]

面白かった。

ヒロイン雨麗がまだ幼いときに出会い、長じて結ばれたのは皇位からは程遠い第七皇子だったー。

タイトルからして、最初は少し抵抗?がありました。いかにもネット小説サイトから書籍化されたようなタイトルだったのでー実際には、この作品がそうなのかは判りません。

しかし、読み始めたら、止まらないくらい面白い。良い意味で期待を裏切る素敵な作品でした。
後に皇帝となる花陵王が雨麗の天真爛漫さ、透き通る優しい光のような彼女の清らかさに包まれて次第に変わってゆくー人として皇帝の器として変わってゆくのも興味深く、また、彼と同様に幼い無垢な少女から大人の女性へと変わりゆくヒロインの姿も好ましかったです。
そんな二人が最初は兄と妹のような関係だったのが、ゆっくりと相思相愛に変わるのも微笑ましい感じでした。

私は出逢えて良かった作品だと思っています。

2024年3月23日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2024年3月23日]

☆感想(一巻~四巻)☆

 面白い。
 若くてイケメンの王様が喪った妻ー嬪宮をひたすら恋うる姿も切ないし、ヒロインが別の女を心に棲まわせる男に次第に心を傾けてゆくところも切なくて良い。
 元両班の令嬢(今は恋愛相談占い師?詐欺師?)ヒロインを巡って、国王とイケメン武官が激しく対立、恋の火花を散らす三角関係は、まさに女子の憧れそのものだろう。
 また、恋愛模様だけでなく、ヒロインがその武官と元は許婚同士で結婚寸前の関係だったこと、「自害」とされる嬪宮が実は他殺だったーなど政治的陰謀、ミステリー要素も多分に含まれ、見応えのあるドラマとなっている。

2024年3月21日

読書状況 いま読んでる

「恋慕~月に咲く花~」後編。
愛する桂花と共に生きることを決意した世子賛が最終的に選んだ道とはー。
***********(本文から抜粋)
 王妃が麗しい面に落胆の色を滲ませる。
「あなたにとって、私たちが選んだ道は、ただ恥ずべきだけなの?」
 王が微笑んだ。
「まさか」
 彼は逞しい腕でさっと王妃を横抱きにし、膝に乗せた。
「十六年前、俺たちは朝廷の臣下たちの非難を浴びながらも、自分たちの想いを貫いた。その結果、そなたは今、俺の妻として側にいてくれる。三人の子たちにも恵まれた。俺はきっと何度、十六年前のあのときに戻ったとしても、同じ選択をするだろう。願わくば、そなたも俺と同じ気持ちでいてくれると嬉しいんだがな」
 王妃の面に悪戯めいた微笑が浮かぶ。
「むろん、私もあなたの気持ちとまったく同じよ、殿下」
 二人は共犯者のように顔を見合わせ笑む。
「何度でも言うわ。あなたの側にいられて私は今、とても幸せ」
「嬉しいことを言ってくれる」
 王は王妃の身体をそっと褥に横たえた。やわらかくのしかかってくる王の身体を受け容れながら、王妃は自分たちの選択は間違っていなかったのだとその夜、何度も確信したのだった。

2024年3月9日

とても良かった(; ;)ホロホロ
泣けた。
絶世の美男子の皇帝×流した涙が美しい宝石となる「涙精族」の美青年Love。
流した涙が宝石になるという設定は、昔からの「人魚の涙が真珠になる」という伝説を思い出させる。
BLの攻めといえば、割と「俺様」、「積極的」というワードがついて、強烈な個性を持つキャラが多いが、このヒーローは優しすぎるくらい優しくて控えめだ。
常に相手のことを思い、受けの身を自由にしてあげることが相手のためであるなら自分の「側にいて欲しい」気持ちを抑え込んで、自由にしてあげる。
また、受けの方も自分より相手のことを真っ先に考える性格で、まさに「似た者」同士といえる。

ストーリーは涙精族の青年が「涙玉」を絞り取るために、皇帝の後宮の姫に囚われるところから始まる。囚われていた青年はひたすら涙玉を絞り取られ、ついに逃げ出したところ、皇帝と出会った。女装が似合いすぎるほど似合う、華奢で美しい彼は「姫君(皇帝の妃候補」)として女装のまま後宮に匿われる。
そして、優しすぎるくらい優しい二人が愛し合うようになるのに時間はかからなかったーという内容。

内容としては、「BL女装後宮もの」としては王道で、割とよくあるパターンだとは思ったが、とにかく主役カップルの好感度が高い。
二人があまりに良い人すぎるので、本来なら、義理の息子に色目を遣う皇太后の強烈悪役キャラがもっと際立つはずなのに、あまり際立っていない。
全体的に泣かせる話で、特に最初の二人が初めて結ばれた直後に別れるシーンでは泣けた。
ーそなたがもっと歳を取った時、そなたにとって生きやすい世の中になっていたら、そのときは俺を思い出して、「よくやった」と褒めて欲しい。
後宮を出たら、後宮で体験したことはすべて「悪い夢」だと忘れた方が良い、自分のことも忘れろと言った皇帝が、たった一つだけ口にしたのがこの言葉だった。
それに対して、受けが言ったのが
ー私は絶対にあなたのことを忘れません。
お互いを想い合う心がひたすら切なく美しく描かれた名シーンだと思う。

一旦は皇帝の計らいで後宮を逃れながらも、皇帝の身に危険が迫ることを察知した青年は、自ら「鳥籠(後宮)」に戻る。ここも良かった。
この二人は本当に自分より愛する人のことを考えるんだなーと改めて思った。
とても良い話だと思う。出逢えて良かったと心から思える作品に心からの拍手を贈りたい。

2024年3月3日

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読書状況 読み終わった [2024年3月3日]

☆三個か四個かで迷った、、、

序盤から中盤は正直、このシリーズもそろそろかなぁと思ってしまった。最初のような面白さや勢いがなくなってきた。
だが、中盤から面白くなってきて、やはり幼い皇后莉杏の賢く優しい人柄が感じられ、ほのぼのとしてくるのを感じた。また彼女の人として女性として、何より皇后としての成長が丹念に描かれていて良い。

ラストで皇帝暁月と再会したシーンから数年飛ばして、大人の女性となった莉杏が登場した時、これで最終回なのかと思いきや、どうやら残り一巻があるらしい。
そうなると、最終巻となる次に期待が大きくなる。
個人的には、今回で終わっても良かったのかな~という気もするが、是非、しっかりと皇帝夫妻の迎えたゴールを見届けたいと思う。

2024年2月27日

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読書状況 読み終わった [2024年2月27日]

良かった。

今、最終巻まで通して観て、改めて初巻から完結までを振り返ってみる。
まずは映像がとてもキレイだった。ハ・ラムとチョンギの再会後、川辺のファーストキス、それから最終話の幼い頃を彷彿とさせる桃園でのシーン。とにかく映像美が印象に残るドラマだったと思う。
また、流石に子役からの実力派だけあり、主演女優のキム・ユジョンの活躍ぶりは凄かった。特に彼女の「泣くシーン」はとりわけ印象に残っている。圧巻だったのは、二人きりで深山の川の畔で彼女がハ・ラムの肖像画を描いていた時、亮明大君がハ・ラムを捕らえにきたときと、最終話の彼女が魔王によって再び失明させられたときだ。
彼女は本当に哀しげに泣いており、演技だとは到底信じられない真に迫っていた。観ている私まで、一緒に貰い泣きしそうになった。あるときはコミカルに、あるときはシリアスに、シーンごとにドラマごとに幾つもの顔を使い分け「別人」になれる。子役からだから芸歴は長いとはいえ、まだまだ若い。本当に先の楽しみな女優さんだと思った。

ドラマそのものについては、設定、ストーリー展開、何点か首を傾げるところもあるにはあった。しかし、この作品は元々、壮大なファンタジーであるから、多少の(史実からの)逸脱・脚色は気にする方がおかしいのかもしれない。
ラストの「エピローグ」は、無事にチョンギが描き上げた霊妙な御容に魔王を封印して、二人が都を去ってからを描く。主役だけでなく、彼らに関わりの深い人物たちの「その後」も描かれる。
ラストは同じ日に生まれたハ・ラムとチョンギの誕生日に亮明大君がプレゼントを携え訪問する。ハ・ラムとチョンギは夫婦になっており、一子も生まれている。これは今までのなりゆきから当然かなと思った。祝福ムードに包まれている中、都から突然の使者が来て、今は世子となった大君に、兄の朱香大君がついに謀反を起こしたと知らせ、大君が二人には都が大変なことになっていると告げずに去る。
ー今まで苦労した分、幸せでいてくれ。
心で告げる大君は、恐らく、まだチョンギへの恋情を抱いているのだろう。
まさに、見守る男をコンミョンが見事に演じきった。
それにしても、懲りないのは朱香大君だ。「五年」もの間、牢に閉じ込められていたのに、いまだ復讐と王位を夢見る野望を忘れていないとは。
が、この「五年」という月日が少し不自然にも思える。
朱香大君は五年も過酷な牢暮らしでも、少しもやつれてもいないし、変わりない。
更に、兄弟の大君が王位を争って一騎打ちのシーンでドラマは突然終わる。
ハ・ラムの星見では、正義の亮明大君の勝利を暗示しているが、はっきりと結果は出ないままだ。
余韻があるといえば良いのだろうけれど、私的には、何故、このシーンで終わるのかも理解に苦しむ。
やはり、ラストはチョンギとハ・ラムで終わった方がまとまりが良かったのではないか。

色々と書いたが、全巻楽しく視聴できた。ハ・ラムとチョンギに生まれながらに課せられた切なくも残酷な運命、二人が運命にも屈せず、乗り越えて求め合う姿には心を打つものがあった。また、「魔王」を肖像画に封印するーという設定は斬新で興味深い。

2024年2月24日

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読書状況 観終わった [2024年2月24日]

後宮という狭き鳥籠に囚われた女たちの光と闇を描くと共に、宦官という特殊な「性」を持つ男の悲哀をもつぶさに描かれている傑作。

今回も面白かった。
主役カップルの延明と桃花の絶妙のコンビネーションは、見ていて気持ちが良い。カップルともいえない不器用な二人だが、女官と宦官の関係にありがちなものではないところがまた良いと思う。延明の方は桃花が好きなのだが、果たして、彼女がその想いに気付くのは、いつなのか。
次々と出てくる「謎」も興味深く、とにかく読み応えがり、嫌みのない作品で好感が持てる。

2024年2月17日

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読書状況 読み終わった [2024年2月17日]

面白かった。ワクワクしながら続刊を待っていただけに、期待度も大きかった。
正直言えば、薫胡と帝ことレイシの関係の進展を期待していただけに、その辺りは肩すかしを食らわされたような気がしないでもない。
しかし、ロー族という青い鬣の馬を産出する神秘の一族に薫胡がさらわれるーということで、それはそれで番外編? として愉しめた。

しかし、一応、薫胡の兄だという尊武という男は何を考えているのか、今一つ、底が知れない不気味な人物である。もしかしたら兄妹かもしれないけれど、薫胡を好きなのかなと思わせる言動があるかと思えば、そんな女性をいとも容易く見捨てるという信じられないほどの酷薄さを見せる。
私は策略家で野心のある玄武公より息子の尊武の方がはるかに怖ろしい人物だと思う。
薫胡とレイシの関係と同じくらい、実は、薫胡と尊武のこれからの関係も気になるところだ。
更に、やっと役目を果たし、ロー族から解放されたと思いきや、またも王宮で陰謀が芽生えている様子。
続きが気になるところで終わりらしい。
今回のような番外編的話もたまには良いが、毎度となると少し首を傾げることになるだろう。
願わくば、次巻からは番外編的ではなく、本筋の物語の進展を期待したい。

2024年2月4日

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読書状況 読み終わった [2024年2月4日]

良かった。

うっかりして、完結巻を先に読んでしまったのだが、2巻も違和感なく楽しめた。

後宮に渦巻く欲望、陰謀、更に漢帝国を根底から揺さぶるキョンシーの侵略、複雑に絡み合うそれぞれの思惑に否応なく巻き込まれる木蘭と劉覇。

複雑な設定ながら、どれもがスッキリとまとまり、全体としての統一感があるし、オチがついている。
歴史小説を読んでいるような楽しさも味わえたし、読み応えのある作品だった。

2024年1月29日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2024年1月29日]

面白い。あまりにも自分の好きなツボにハマりすぎた世界観、内容設定すぎた(≧▽≦)。

まず、美少年が「少女」として後宮に入るという話そのものは、BLとしては王道すぎるとは思った。
しかし、そこからがひと味違う。
私は劇団の脚本家「飛天」こそが国王の仮の姿なのではと考えていたのだが、予想は見事に覆された。
飛天の本性は憂炎という、国王の幼なじみにして名家の子息、しかも姉は国王の寵姫の一人だった。

この憂炎と主人公の美少年永雪(憐花)が互いに惹かれ合っているのは予想できたが、何とラストは二人が「同志」として手を組み国を変えるという大望を抱くところで終わる。
これもまた、私には予測できない展開だった。
憂炎は永雪を本格的に後宮に入れ、わざと国王の眼に止まるように仕向け、「寵姫」に仕立てあげようというのだ。国王は気に入った者の意見には良く耳を傾けるから、まずは「妃」として国王に気に入られるようにしろと言う。
設定、ストーリーともに、私的にはハマったどころではなく、「ドハマリ」してしまうほど好みだ。

ただ、ここからは少し疑問を感じた点を書く。
まず、少年を少女として後宮に入れ、「寵姫」とするまでは良いとしても、そこから先はどうするのか。
幾ら国王が房事に興味がなくても、まったく、そういうことがないというわけにもゆかないだろう。その辺りを読者が不自然に思わない形でどう描くのかが気になる。
二点めは、憂炎の気持ちだ。
彼は永雪のことを恋い慕っているのに、国王の想い者に仕立てあげようとしている。つまり、己れの野望を遂げる「駒」として使おうとしている。
仮に思惑通りに行ったとしても、国王が永雪に本気になり、二人の間に情が芽生えても構わないのか?
それほどに、憂炎の永雪への想いは浅いものなのか。
展開次第では、三角関係にもなりそうだし、愛する者をわざと他の男に差し出すというのは、かなり屈折した愛情表現にもなりかねる。
その辺りは一点めの不自然さとは別に、私には理解しがたい感情だった。
今後、続編が出て物語りが進めば、憂炎の気持ちも自ずと明らかにはなるだろうが。
いずれにしても、従来の星の数ほどもある美少年の女装モノとは一線を画した内容展開ではあり、注目に値する作品だと思った。

好みの点では間違いなく☆五個以上なのだが、後述の二点により、☆の数は少なくした。

2024年1月20日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2024年1月20日]

とても良かった。

晴れて木蘭が劉覇と婚礼を挙げるシーンは、読んでいる自分まで、はるかな西域から吹いてくる微かな風を感じられるような気がした。

実は、このシリーズを読み始める前にAmazonで先に読了された方の感想に眼を通したところ、購入を躊躇う気持ちが生まれてしまった。おしなべて好意的とはいえないものが目立ったからだ。
しかし、どうしても気になる作品なので、シリーズ三冊まとめ買いしてみた。
結果、やはり小説というか本の感想というのは千差万別、読者の好みや考え方に大きく影響されるんだなということが判った。
私的には、面白いし、とてもよく練られた素敵な作品だと思う。

木蘭が友達だと信じていた楼蘭人の伊亜羅がもしやの裏切りを働いたのは残念だったけれど、木蘭の懇願で皇帝が例外的に恩情を施したこと、木蘭の心を思いやり、婚礼の最中にも拘わらず劉覇が彼女を楼門まで連れ出したことも良かった。
そして、何より、伊亜羅と木蘭の別れに胸が熱くなる。
最後の「離れても、人は巡り会う。人きそれを縁と呼ぶー。」の一文がこの二巻全体を引き締めている。

引き続き、三巻も期待して読みたい。

2024年1月15日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2024年1月15日]

「秘苑の蝶」第二部スタート。
奇跡の出会いー13歳の世子が満開の金木犀の下で出逢った不思議な少女、その正体は?
第二部では、コンと雪鈴の子どもたちの時代を描く。
********本文から抜粋*********
賛は、がっくりと肩を落とした。王妃の声が心なしか優しくなった。
「それにね、金家と王室の繋がりは、あなたもよく知っているはずよ。清明さまは、あなたの叔母上だし、昌どのは従弟だわ。清明さまの大切なご子息を男娼紛いとして扱うだなんて、到底できるはずがないことは判るでしょう。金氏は地方両班とはいえ、開国功臣を祖に持つ名門だわ。北にはまだ、明基さまのお父君も現在だし、地元ではそれこそ都の王よりも強い影響力を持っているの。その名家の直系の子息を召し上げるなんて言おうものなら、昌どのの祖父君が兵を率いて王宮に攻めてくるかもしれなくてよ」
 つまりは、名家の御曹司を遊び半分で慰み者にする行為は、地方在住の臣下に叛意を抱かせる因(もと)にもなり得る。母はそう言っているのだ。
 しかし、考えてみれば、そんなものかもしれない。歴史を紐解けば、私怨がきっかけとなり、国家転覆の謀を企て大乱を起こし、王朝が転覆した話は現実として存在する。
 うなだれた賛に、王妃は更に声をやわらげた。
「想いは何も貫くだけが道ではないわ。時には引くことも、特に相手を大切に思うならば、諦める覚悟も必要なの」
 王妃の諄々とした諭しはもっともだった。最早、抗う言葉さえなく、賛はうなだれて中宮殿を出て東宮殿へ向かった。
 自分は、どこかで甘えていた。母なら理解してくれると心のどこかで期待していたのだ。しかし、母の言葉はすべて正しいがために、賛は余計になすすべもなかった。

2024年1月5日

面白かったです。

ヒロイン木蘭の婚約者である皇子劉覇がキョンシーではないか? というのは、かなり早い段階で予想はできました。
木蘭を大切に思うからこそ、冷たい別離の言葉を突きつけて婚約を破棄しようとする彼のこころが哀しくも切なかったです。

木蘭の正義感が強く、真っ直ぐなところも好感が持てました。
続編も購入したので、楽しみです。

2023年12月31日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2023年12月31日]

良かった!
初巻辺りは、ちょっと都合が良すぎる展開みたいなところがあって、正直とうかなと思ったが、段々と盛り上がっていって、続き物としては最も良い形でクライマックスを迎えられたパターンではないか。

簡単に言えば、この物語は平民の少女が後宮に入り皇帝に見込まれ嬪から貴妃、最後はついに後宮の頂点に立つシンデレラストーリーである。
しかし、忘れてならないのは、本書の特色であるヒロインの女性薬師としての活躍だろう。
まだ女性には學問や薬学医学が必要ないと思われていた時代、誰でも苦痛なく服用できる不苦の良薬の開発を究極の目標にして、ヒロインは邁進する。そして、様々な事件、自らを陥れようとする陰謀すら乗り越えて、かえって、その度に人間としても薬師としても成長してゆくのだ。
また、慈悲深い表の顔と酷薄にすら見える裏の顔を持つ美貌の皇帝がそんな英鈴の成長をずっと見守っている姿も印象に残った。

最終巻の167ページには、皇帝朱心が英鈴に
ー好きだ。
さらりと告げる場面があるが、これまで気持ちらしい気持ちを前面に出したことのない彼の意外な告白に、ちょっと萌えてしまった。
最後の最後でも、華燭を控えた二人のラブラブな様子が描かれていて微笑ましい。

おそらく朱心の本性というのは、表の顔と裏の顔が混じり合ったものなのだろうけれど、彼が素顔を見せたのは妻である英鈴だけなのだろうとー思いたい。
余計な一言かもしれないが、後宮には英鈴のほかにも美しい妃があまたいる。朱心が彼女たちの元にも通う場面が描かれてなかった物語の先にあるはずだが、そこは描かれなくて良かった。どうやら自分は一途で健気なヒロインの味方になりきっていたようである。
けして諦めることのない英鈴が開発したのは不苦の良薬だけではなく、「不屈の良薬」でもあるだろう。

2023年12月19日

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読書状況 読み終わった [2023年12月19日]

楽しみにし待ち続け、あっという間に読了。
うーん、何とも、もどかしい二人だ。
ついにウルジが結婚を決め、しかも相手は王女様だとは予想外の展開である。
しかも、国王の姫の婿とは、附馬になったのか?
しかし、相手の妻となった女性は何かといわくつきの人物のようだし、頭の良いウルジのことだから、何か思惑があってのことなのか?
だとしても、ウルジがラムダン以外の「女性」と結婚するなんて、ラムダンじゃなくても、読者の私も衝撃すぎる。
更に、貿易船の船長がラムダンに本気になり、ラムダンを真ん中にウルジと三角関係の様相を呈している。
恋の嵐が三人の間を吹き抜ける?
続きが気になる! 面白かった。
   

2023年12月11日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2023年12月11日]

やっと読了。今やアニメ化もされ、絶好調の猫猫シリーズ。我が家も子供たちだけでなく夫まで、わざわざ録画して観ている様子である。
ーが、水を差すつもりはないのだが、初巻から14巻までずっと愛読しできた長いファンとしては正直、何か最近、勢いが無いような気がする。
他の方のお怒りを承知で言うなら、話を引き伸ばすために壬氏と猫猫カップル以外の脇役、または事件などを描き込んでいるのではと思ってしまう。
たぶん、それは、脇役をじっくり描くことで作品の奥深さを出そうとする作者さんの深遠な意図を私が理解する力が無いだけなのだろうけど。

が、それにしても、ちょっと引きすぎるのではないか。
始まって数巻めくらいまでは、ワクワクドキドキが止まらず、ページをめくるのももどかしいほど面白いかったが、最近は主役カップルの関係の行き着く先を知りたいがためだけに新刊を買っている。
そろそろ、ゴールが見えてきても良いのではと思ったのは、私だけだろうか?

2023年12月8日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2023年12月8日]

中学生か、小学校低学年のころ、学校を通して注文販売する本の一冊として母に頼んで購入して貰った。

突如として視力を奪われた主人公が運命にも負けず、雄々しく立ち上がり前向きに生きてゆく姿に、子供ながら心を揺さぶられた記憶がある。
そんな主人公に寄り添う存在としての盲導犬ロバータ。
我々は想像できないほど、盲導犬の果たす役割は大きく、またそれだけ、飼い主にとっても大切なパートナーなのだと知った。
今でもよく覚えている作品で、今の子供たちにもぜひ読んで欲しいと思う。

2023年12月4日

読書状況 読み終わった [2023年12月4日]

漫画アプリのサイトで読んだ。無料配信中の七話まで一挙読了。
まず、絵柄がとても美しい。いわゆる韓国時代劇ドラマを観ているようでもあり、また絵画ーイラスト独特の視覚的美しさもあり、韓国時代劇大好きな自分としては、目の保養もしながら存分に楽しませて貰った。
ストーリーの方は、よくある「ツンデレ」もののように感じられる。
自他共に冷血と認める世子が気紛れに夜伽をさせた女官ウヌに、次第に本気になってゆく。このウヌという子がまた、とても良い娘だ。いささか真面目好きる嫌いがあるものの、誠実で優しく、「尚宮になりたい」というブレない彼女なりの夢を持ち、他の女官たちのように世子に対して、邪な欲を抱かない。いわゆる玉の輿に乗ろうという野心もカケラほどもない。
そんなところが、世子の冷え切った心を解し溶かしたのではないか。
まさに、後宮女官の鏡のような女の子である。
ウヌの目指す「尚宮」とは、夜伽を務めて成り上がる「承恩尚宮」ではなく、実力でのし上がる「キャリア尚宮」である。
ここから先のストーリーは課金しなければならず、正直、私は課金して読んでも良いと思えるほどのレベルだが、とりあえずは、ここまでにしておこうと思う。
が、予想では、これまで夜伽を務めた女官たちを次々に見限っていった冷血世子がウヌに本気になり、ウヌが世子の子を身籠もり、玉の輿に乗るーというシンデレラストーリーなのでは?
もちろん、まったく見当外れの可能性も大いにあるけれども。
素敵な作品に巡り会えて、楽しいひとときを過ごせた。

2023年12月2日

読書状況 読み終わった [2023年12月2日]
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