舞踏会へ向かう三人の農夫

  • みすず書房 (2000年4月14日発売)
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本棚登録 : 447
感想 : 39

最後まで読めてよかった!ピーターと「私」の章、フーベルト、ペーター、アドルフらの女の子関係(それが現在にどうつながるか)などなど、どうにもごっちゃになってしまい、全体としてちゃんと理解できた自信はないけど、ただ難解なだけじゃなく、個々の逸話に血の通った面白さがあり、読んでる瞬間はとにかくその章の物語に入り込まずにはいられなかったから、切り替えが難しかったってのもあるかな。そして、著者も読者に切り替えるよりは、多少ずれつつもどんどん重ねていく、オーバーラップさせることを促していたんじゃないかなと、勝手に解釈。現に、いろんなものが重なってるのが見えた瞬間が読んでる途中何度もあって、ゾクゾクした。でも、三人の農夫がカメラマンの向こうに見た幻視(あの描写は鳥肌)じゃないけど、わかったかなと思うとそのヒントみたいなものが次の瞬間には消えてしまって、結果的によくわからないまま…。でも、今作は、けっこうすがすがしく「まあ、いいか」と思えた。
登場人物の中では、ウェイトレスのアリソンが好き。思考回路なんかは自分と重ねられるところもありつつ、メイズとの関係は下手なロマコメよりいい感じだし。
これがパワーズのデビュー作で、日本で邦訳が刊行されたときかなり話題になった記憶があるけど(さっきネットで見つけた過去の記事では、発売1カ月で4刷だったとか!その時の読者、今生きてるのか、何読んでるのか知りたい笑)、私はパワーズ5作目。個人的にはこの順番でよかったのかも。今回、その作品群が夜空で星座を作ってて、一番最初に誕生した星が『舞踏会』ってイメージで、他の作品とのつながりが見えてきた。『囚人のジレンマ』は、大戦(第一次&第二次)、偉人(フォードとディズニー)、歴史つながりだし、『われらが歌う時』とは、時空超越、同時存在つながり? 『オルフェオ』とはテクノロジー(写真とネット)と社会と個人ってテーマでつながってる。activistとか環境がテーマだという新作『The Overstory』も早く読みたいので、翻訳急いでほしいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年4月25日
読了日 : 2018年4月25日
本棚登録日 : 2018年4月25日

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