書物愛蔵書票の世界 (平凡社新書 125)

制作 : 日本書票協会 
  • 平凡社 (2002年1月1日発売)
3.11
  • (0)
  • (2)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 54
感想 : 6
3

本愛・古書愛を前提に、
自分が気に入った本に、『自分が読んだ・気に入った・自分の本だ』っていう証を付ける。
これが端的に言う蔵書票。
蔵書票の元々の作品形態は版画。
サイズは元が本に張るものと言う事で小さく、
日本の浮世絵に近い作品から西洋絵画の様な作品まで千差万別。
そしてこの蔵書票世界の特徴的な点として、
蔵書票本来の制作意図である『自分が気に入った証』という意味で張る点と、
単純に『綺麗だから』とを集めるコレクター。そのコレクター同士が集めた蔵書票を交換する、という点。
他にも特徴はあるのかもしれないが、これだけでも蔵書票の世界は中々奥が深いと思う。

新品に近い状態を維持しつつ、つまらない本なら売る手軽さと商業性を追求した中古書店チェーンがひしめく。
電子書籍が騒がれ、続々と電子化され紙媒体が薄れて蔵書票本来の張るという行為意味が消失しそうな現代社会に蔵書票の作家・コレクターはどう感情を抱いているのだろうか。

私自体この本を読んで蔵書票という存在を初めて知ったが、手のひらサイズに集約された美術品は、世界から作成する意味を消失されてしまう危険性がある、それは惜しくてたまらない。人生で一度現物にお目にかかってみたいと思う。

この本には作品が多く載っている訳ではないし、作り方や作家の半生が内容の多くを占めているけど、読んでいるともっと色々な蔵書票の作品を見てみたくなるし、自分でもほしくなってくる。
蔵書票の入門には丁度いいと本だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2010年10月11日
読了日 : 2010年10月11日
本棚登録日 : 2010年10月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする