タテ社会と現代日本 (講談社現代新書)

  • 講談社 (2019年11月13日発売)
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社会集団構成の要因を「場」と「資格」の2つと捉え、それぞれの内部メカニズムを分析することで、こと日本におけるタテ社会の人間関係を描写した1冊。

特に印象的だったのは前述の2つの概念整理に加え、会社内における序列意識の一節(原文は下記)。日本社会は場を重んじる社会集団であり、大きくその特徴として①序列意識(年長者など)②集団内のエモーショナルな結びつきの2つが挙げられる。
これらを背景とした際、重視すべきは自分個人の能力ではなく、集団内における自己の立ち位置や結びつきであり、故に下記のようにどこまでいっても「オレだって」という不公平感が拭えないのだと理解できる。他国と明確な比較を行なったことはないが、この企業内における意識は実感とも通ずる部分があり、故に能力主義のインストールが困難であるのだと認識するに至った。

「筆者のみるところ、日本人の「オレだって」という意識はまったく世界に類例をみないほど強く、自己に対する客観性をミニマムにしている」(p.73)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学問
感想投稿日 : 2023年2月5日
読了日 : 2023年1月16日
本棚登録日 : 2023年1月16日

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