伸びゆく力
シリーズ完結編。
本作では草多の父が判明する。
そして、薬草の言葉がわからなくなるのと引き換えに、これまでと違うものの見方ができるようになる。
化学的に作られた薬とは違って、薬草は効き目が緩やか、私自身もずっとそう思い込んできた。
しかし、よくよく考えれば皮膚についただけでただれるもの、人を死に至らしめるものなど数多く存在するのだ。
そんな当たり前のことを忘れて人工のものの方が怖い、などと考えていたなんて!
おいしくて健康にいい山芋だって、ずっと触っていると痒くてたまらない(だから料理の時はビニールを手に巻き付けてすりおろす。そこまでしても好きなのだ)。
酢で洗って痒みがとれるとはいえ、ちくちくする感じは長く残る。
植物の効能のは表裏一体だということを、改めて感じさせられた。
本作では、初心に返るということが主題になっている。
突然なくなってしまった自分の力。
そのとき草多は、どうして己が進んできた道を選んだのかを思い出す。
そして周りの人間たちが特別優れているように思えても、実は彼らだって自らの才能に甘んじていたわけではなく努力を重ねてきていた、ということに気づくのだ。
困難にぶつかった時こそ見える自らの方向性。
切磋琢磨していく仲間の大切さ。
草多はまだまだこれからだ。
だからこそ伸びゆく力を感じ、それに心を動かされる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年3月24日
- 読了日 : 2014年3月22日
- 本棚登録日 : 2014年3月24日
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