シリーズ一作目。
宝石は美しい。
鉱物マニアではないが、やはりダイヤの輝きも、ルビー、サファイヤ、エメラルドの輝きも捨てがたい。
科学博物館に行けば、宝石展は大盛況。
人の心をどうにも動かさずにはいられない、そんな宝石を扱う、世にも稀なる美男子リチャードと、二つ名がつくほどの名掏摸を祖母に持つ正義のバディミステリー。
「出会いのピンクサファイア」の物語はこの物語を形作る説明でもある。
謎多きリチャードとさっぱりとした正義の掛け合いが愉快。
人の心の機微を感じられるのが、本作を締める、「追憶のダイヤモンド」。
なぜか半面黒く汚れたダイヤモンドを持ち込んだ老紳士。
なぜ彼はこのままにしていたのか、そして、なぜ、リフォームを止めると急に言い出したのか。
そこには人生の物語が隠されていた。
人がなぜ美しさを求めるのか、なぜ技術を磨くのか。
それは人は人を元気付けたいと考え、喜んで欲しいと思うからだ。
人は優しいものだ、それを信じさせてくれる物語は、宝石に劣らず美しい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2022年10月2日
- 読了日 : 2022年9月24日
- 本棚登録日 : 2022年10月2日
みんなの感想をみる