ジェンダーレスの日本史-古典で知る驚きの性 (中公新書ラクレ 779)

著者 :
  • 中央公論新社 (2022年11月8日発売)
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感想 : 18
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日本はジェンダーギャップ指数116/146位という極めて低い順位にある。
特に経済、政治での指数がそれぞれ121、139位(出典:男女共同参画局 2022年)であり、先進国の中では最低ランクである(この順位で先進国と言えるのか)。
多少変わってきたとは言え、まだまだ伝統的家族、だとか男は男らしく、性別分業など、前時代の遺物が多くの人を苦しめる。

じゃあ、日本ってそもそもどんな国だったの?
それを古典を用いて社会を見るという手法を取ったのが本書。
なるほどと思ったのは日本語には男性名詞女性名詞がないという指摘。
著者はそこに性の曖昧さを見る。
直結するかは別議論としても、男女が曖昧というのはいかにも日本らしい。

古代は女性首長が多かったようだ。
3割から5割というのは驚きの数だ。確かにアマテラスは女神だし、神功皇后も有名だ。
夫婦同姓も、伝統とエセ(あえて言おう)保守派が言うのは明治以降のことで、それまでは別姓、別墓が当たり前(これは既知)。
本書は、しかしトランスジェンダーや同性愛、また、小児愛や子が親の所有物とみなされていた過去のことにも言及しているところを評価したい。
単純に自身の主張の補強のために推論を言うでもなく、また、過去を殊更に美化することのない姿勢は、当たり前ではあるが非常に好ましい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2023年2月12日
読了日 : 2023年2月7日
本棚登録日 : 2023年2月12日

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