『このミステリーがすごい!』大賞、第15回大賞受賞作。
ガンが何故消えたのか、という今までにない角度の謎解きだ。
がんの最新研究についての記述は興味深い。
NHKスペシャル「人体」でも扱われていた、免疫系の力と、それを突破するがん細胞の巧妙さには驚かされたものだが、まさかここでそれを再度目にするとは!
124〜125頁を参照されたい。
さて、私個人が感じるに、各登場人物たちは際立って魅力的とはいえない。
特に主人公、夏目の花というか、オーラというか、そういったものが弱い。
あえていうなら宇垣医師とその患者柳沢は好きだが、とにかく主人公の影が薄すぎる。
「いい人」とは往々にしてそんなものかもしれないが。
物語は真犯人を追い詰めて、そして、死で終わる。
ネタバレするな!だって?
バラすわけがない。
そこで終わるんだったら、きっと「このミス」大賞ではなかっただろう。
結末はそんなわけで、一回で理解できなくて、少し前に戻ってもう一度読み直した。
とても、不気味な結末だった。
自分たちが目指す社会の実現、それはとても美しい言葉だし、理想を描く素晴らしさを説くが、一方で美辞麗句の後ろに隠された「正義」の危うさを考えさせられたのだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2018年12月16日
- 読了日 : 2018年11月17日
- 本棚登録日 : 2018年12月16日
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