人生に生きる価値はない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2011年9月28日発売)
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本棚登録 : 435
感想 : 47

連載のエッセーを一冊にまとめた内容.タイトルと直接関わる内容のものはあまりなかったと思う.
客観的な絶対世界が錯覚に過ぎず,主観的な世界を唯一確かなものとしてもよいのではないか,という考え方そのものは時々耳にするものではあるが,難しい哲学的な議論を挟むものの,比較的平易な形でそういった考えを述べていてよかった.世間の常識や,それを批判もせずに自身の倫理規範として採用している人に対する非難というのも,根底にあるのはそのような,絶対的な客観世界に対する疑いである,とも思ったが,著者の他の書籍を読むと順番としてはむしろ,そのような常識に対する懐疑や,常識を押し付ける人に対する不満が,哲学的思考として昇華した結果,主観世界の優位を唱える考えになった,というのが適切かもしれない.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫・新書・単行本 - 思想哲学
感想投稿日 : 2017年7月23日
読了日 : 2017年7月22日
本棚登録日 : 2017年7月5日

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