狂気について 他二十二篇(渡辺一夫評論選) (岩波文庫 青 188-2)

著者 :
制作 : 大江健三郎  清水徹 
  • 岩波書店 (1993年10月18日発売)
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感想 : 19
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先日、約10年ぶりにウクライナの友人に会いましたが、彼がこんなことを言っていました。「どうしたらウクライナの人たちを良くできるかをずっと考えている。彼らは、話題性にばかり投票して、政治をうまく行うことができない。日本は、地方のおじいちゃんおばあちゃんがちゃんと投票に行ってくれるから、急進的な政党が勝って戦争に進むことは無い。成熟しているんだ」

おじいちゃんちゃんおばあちゃんたちが自民党に投票するのは、世界的に見るとそういう文脈もあるのか、そんな風に考えたことは無かったと思うと同時に、であるなら、あと10年後20年後は日本も危ない、と思ってしまいました。

ウクライナ侵略の2022年に読むと、やはり、人間は歴史に学ぶことは不可能なのではないかと、暗澹たる気持ちにもなります。
(203頁のロシアに対する記述は、『白鯨』の中にアフガニスタン戦争の記述があるのと同じ衝撃)

それでも、諦めずに信じて、考えることをやめてはいけないと、教えてくれる本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年7月3日
読了日 : 2024年5月4日
本棚登録日 : 2022年4月27日

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