あるひとは〈自伝〉だといい、あるひとは〈小説〉だといい、〈エッセイ〉だというひともいるかもしれない。(中略)私はいおう、これは言葉の堆積である、言葉の土砂であると――。作者はこの作品についてあとがきでこう記している。いずれにしても作家柳美里のルーツが分かる一冊。
この作家はかなり壮絶な人生を送ってきているらしいとあらかじめ聞いていたが、正直、読んでみてそんなに壮絶かなぁと思ってしまった。確かに在日韓国人の家庭に生まれたことや、学校でのいじめ、自殺未遂などは波瀾の人生と呼ぶにふさわしいかもしれない。しかし、決してそれが彼女のウリというわけではないと思う。その悲惨な人生をしたたかに見つめ文章にしてしまうところが、作家としての彼女の価値なのではないかと思うのです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
柳美里
- 感想投稿日 : 2012年9月23日
- 読了日 : 2001年2月25日
- 本棚登録日 : 2012年5月5日
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