黒書院の六兵衛 上 (文春文庫 あ 39-16)

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  • 文藝春秋 (2017年1月6日発売)
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感想 : 49

江戸時代の終焉。無血開城の裏で、些細な、しかし厄介な問題が発生していた。
御所院番士、的矢六兵衛なる、武士の手本のような所作を身につけた、無口な旗本が、官軍への城引き渡しを前に城内に座り込みを開始した。
問題はそれだけではなく、当の六兵衛の正体が謎だらけであることだ。
突如として官軍将校の職を押し付けられた尾張藩の御徒組頭の加倉井は、六兵衛を下城させるべく奔走するが…。
黙して端座し続ける六兵衛と、その周りであれやこれやと策を練る幕臣たち。一方で加倉井は女房たちも巻き込み、その正体を探ろうとする、二転三転の推理も面白い。
幕府の瓦解と新政府樹立の混乱の時代に生きた幕臣たちの胸中のリアルが描かれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 浅田次郎
感想投稿日 : 2017年7月29日
読了日 : 2017年7月29日
本棚登録日 : 2017年1月9日

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