欲望の資本主義3: 偽りの個人主義を越えて

  • 東洋経済新報社 (2019年6月28日発売)
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感想 : 18
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このシリーズは知識欲を刺激したいときに丁度いい読み物だと思う。経済学者、哲学者が考える現在の問題と解決案は新しい視点を与えてくれる。生活の質は確実に向上している。だけど人は幸せを感じない。過去に起きたことと現代の問題では性質が違う。全人類が今より多少マシになるにはどうすればいいのか、興味が尽きない。

だからこそ、このシリーズに出てくるスピーカーにもっと多様性があればもっと優れた本になるのにとおもう。

言い方が悪いが、研究する環境に恵まれた人たちの集まりという偏りがあるように見える。確かにそれぞれの生い立ちを見れば様々なバックボーンがあるだろうが、実際この世に生きてる人たちはもっと多様だ。知識を持った人間だけで経済の話が完結するとは思えない。

人は自分が経験していない出来事を知ることは出来ても自分の事として理解することはできない。だから多様性が必要だと思っている。男性、女性、富裕層、貧困層、健常者、障害者、難民、権力者、老人、青年、子供…それらのミクロな経済の視点を知らずにマクロが語れるのか。たしかにそれら全てを網羅することは不可能に近い。だからこそ偉大なる知識人たちにはその不可能に挑んでほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月16日
読了日 : 2021年1月16日
本棚登録日 : 2021年1月16日

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