祈りよ力となれ――リーマ・ボウイー自伝

  • 英治出版 (2012年9月18日発売)
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紛争で死んだ人を食べる犬。
同じ「犬が死体を食べる」のでも、藤原新也氏がガンジス川で撮影した逝き方とは真逆の、人間の汚さ、愚かさがぶちまけられてしまった紛争の世界。

赤ん坊を取り除けられ乳房を切り落とされる女性。

国連平和維持軍でさえ、ほんとうの意味で平和を構築、維持出来るわけではない。

232ページ後の写真。道が薬莢で埋め尽くされているのを見たとき、ショックで力が抜けた。

リーマ・ボウイーという女性はこの惨劇の中で、立ち上がり人々と手を取った。
その勇気、忍耐する力を自ら湧き上がらせた。
だれもができないと思った平和を非暴力で引き寄せた。

1972年生まれの40歳だという。
この感想文の筆者は1970年生まれの42歳だ。
さほど年の違わない女性が、他の国ではこれほどの壮絶な目に遭いながら闘いぬいた。
日本に住む日本人の私にこれほどの働きができるだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Façon de vivre
感想投稿日 : 2012年10月26日
読了日 : 2012年10月23日
本棚登録日 : 2012年10月23日

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