グッドバイ

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2019年11月7日発売)
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本棚登録 : 526
感想 : 57
5

なんでこの本を読みたいと思ったのかきっかけはよくわからない。何で知ったのかも思い出せない。でも図書館でずっと待っててようやく番が回ってきた。
主人公、大浦慶についてはこの本を読むまで全く知らなかった。朝ドラ「あさがきた」が大変に好きで、きっと近いものがあると思ったのだろう、それが大当たりだった。
広岡浅子にしても大浦慶にしても、激動の時代に、しかも女性でビジネスを起こしてそれを大事業とするのだからすごい人たちだ。

この本、何より表紙のデザインがいい。
お希以が外国船がやってきた海を見るシーンがこの情景にリンクして、壮大な青い海が脳裏に浮かぶ。
この話がどこまで史実でどこからが創作なのかわからないところも多く、父との関係や番頭の話がどうなのかわからないが、父の名前もWikipediaで見ると実際と同じなので、ほぼ史実なのだろうと思われる。

時々話が急に先に進んだり、先に進んでから過去を振り返る形で出来事が明かされたりすることがあり、話を理解するのにわかりにくいと思った箇所もあった。ただそれも半分を超えるとそういう場面が少なくなったのか、話の続きが気になりすぎたのか、あまり気にならなくなった。

登場人物はこの時代の個性的な人たちが勢揃いするのでまあそれは魅力的なのだが、長くなるので少しだけ。
まず大番頭の2人がとってもいい!
先代から使えている弥右衛門、ただの堅物おやじかと思いきや、終盤また粋な形で出てくるなんて(ただかなりの高齢だったんじゃないだろうか)、さすが大浦屋を支えていた番頭さん。
そしてその弥右衛門の後を継いだ友助、まさか道半ばでこんなことになろうとは…。友助がずっといればまた商売の行方も変わってたのかな。
品川しゃん、遠山、ハント、あんたらは許さへん。(ハントは騙したわけじゃないし自分も損をしているのだが、もっと遠山から取れよ)

小説になのにこんなにフレーズを残したものは初めてで、栞を読んでいるページ用以外に2つ使い、時々書き留めながらの読み進めであった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2020年6月20日
読了日 : 2020年6月17日
本棚登録日 : 2019年12月2日

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